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さいたま会席料理店オーナー新刊本 余命わずかで京都移住、究極のガイドブック

会席料理店「二木屋」オーナーの小林玖仁男さんと新刊本「死ぬなら、京都がいちばんいい」

会席料理店「二木屋」オーナーの小林玖仁男さんと新刊本「死ぬなら、京都がいちばんいい」

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 さいたま市の会席料理店「二木屋」(中央区大戸4、TEL 048-825-4777)オーナーの小林玖仁男さんが5月24日、京都の魅力を独自に紹介した「死ぬなら、京都がいちばんいい」(幻冬舎、1,188円)を刊行した。

マネージャーの森田まり子さん(関連画像)

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 元からあった古い日本家屋を活用し、1998年から営業している同店。母屋は1935(昭和10)年に建てられ、増築を経て今の形となり、日本国登録有形文化財に指定されている。

 郷土玩具のコレクターで、全国各地から集めたコレクションを相当数所持しているという小林さんはこれまで、季節の伝統行事に合わせて客室を装飾し、来店客を楽しませてきた。中でもひな人形の数は一番多く、古い由緒あるものから、土産で買える気軽なものまで2000体以上所有しており、毎年ひな祭りの季節には1週間ほど一般公開もし、今年は約2000人が来場したという。

 同店を「日本一の店にする」ため事業にも精力的に取り組んでいた小林さんを突然病が襲う。2014年に「間質性肺炎」で2年半~5年の余命宣告を受けたという。小林さんは「宣告直後は落ち込み混乱したが、本や人に会い模索する中で、自分なりの『死生観』として2016年に書籍『あの世に逝く力』を出版した」と話す。

 その後、余命をどのように過ごすかを突き詰めて考える中で、知人から言われた「小林さんは京都が好きだったから、最期は京都に住んだらいいのでは」という言葉に激しく揺さぶられたという。さいたまには大事な自分の店もある、病気の体でゆかりのない新しい土地へなどとは考えてもいなかったという小林さんだがすぐに決断。わずか2カ月後には京都へ移り住んだという。

 小林さんは、毎日の食事、買い物、文化施設の訪問、訪ねてくる友人たちを案内するなど、精力的に京都の生活を一期一会で楽しんだ。本書は、会席料理店を営む小林さんが薦める「京都の美食」、美術の造形も深いことから「京都の美術」など、文字通り「死ぬ前に一度は見ておきたい」ものばかりがならぶ究極のガイドブックとなっている。

 小林さんは「自分の事業などまだまだやりたいこともあるけれど、最期くらいゆったり過ごしてもいいのではと思い京都へ移り住んでみて、やっぱり思った通り素晴らしい街だった。実はいよいよ具合も悪くなり、さいたまに引き上げてきたのだが、やっぱりどうしてもあちらで最期を過ごしたいと思い、また行くことになっている。それだけ素晴らしい京都の魅力を多くの人に伝えられたら」と力強くほほ笑む。

Amazonや書店などのほか、同店でも販売している。

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