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さいたま市の洋菓子店「おかしさん」本店が閉店 15年の歴史にいったん幕、移転へ

店主の飯田さんと本店の星野店長

店主の飯田さんと本店の星野店長

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 さいたま市中央区の洋菓子店「おかしさん」本店(中央区上落合4、TEL 048-607-1983)が10月31日で閉店し、松伏町へ移転する。

本店移転後、市内での販売を終了する洋菓子

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 「空想菓子店」をコンセプトに、「目で見て楽しく、くすっと笑えて思わず誰かにプレゼントしたくなるようなお菓子」を販売する同店。発酵バターやミネラル豊富な素焚(すだき)糖などの食材を使い、卵、乳製品、上白糖を使わない焼き菓子のシリーズ「優しいお菓子」もそろえる。

 2007(平成19)年に本店としてオープンした現店舗だが、分譲住宅化のため取り壊しが決まり、2年ほどかけて移転先を決めたという。本店の移転以降、市内に残る支店はコクーンシティ内の「るるるるおかしさん」(大宮区吉敷町)のみとなり、現在取り扱う洋菓子の販売は10月末で終了。11月以降、同支店では焼き菓子のみを販売する。

 店主の飯田健太さんは「約2年間、一日も欠かさず、あるクッキーを1袋ずつ買い続けるお客さまから『病気で食べ物が喉を通らない状況だったが、このクッキーだけは口にできた。命をつないでくれた菓子だった』という手紙を頂いたのが印象的。私たちの想像を超えたところに菓子が届き、影響を与えていることを思い知らされた」と振り返る。「幼稚園時代から来店していたお子さまが製菓学校に進み、アルバイトとして当店で経験を積んで菓子業界に羽ばたいていったのもうれしい出来事」とも。

 9月後半から閉店までは、2週間ごとに「ロールケーキ」「チーズケーキ」などメニューを変えながら、復刻洋菓子などを本店で限定販売する。年始恒例の限定商品「抹茶とれびあーん」も販売予定。

 飯田さんは「移転を迫られて以来、浦和と与野の支店を立て続けに閉店し、お客さまから多くの心配の声をもらったが、本店移転の話がまだ公表できなかったため、詳しい話ができず申し訳なかった。移転を発表して以来、生ケーキの予約もこれまでの2.5倍に増え、反響の大きさを実感している。移転までの約2カ月間は創業メンバーも店に立つので、気軽に声を掛けてもらえれば」とも。本店店長の星野彩花さんは「閉店まで心を込めておいしい菓子を準備するので、一人でも多くのお客さまに手にしてもらいたい」とほほ笑む。

松伏町の新店舗は12月ごろからの営業を目指すという。飯田さんは「のどかな風景を生かしながら、当店のお菓子や世界観をじっくり楽しんでもらえる店づくりを目指している。来年5月ごろにはカフェなどもオープンできれば。さいたまで15年間、お客さまに育ててもらった店の集大成として作り上げるので、ぜひ足を運んでほしい」と呼びかける。

 営業時間は10時~19時(お菓子がなくなるまで)。10月31日まで。

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