
「第9回岩槻映画祭」が2月8日・9日、市民会館いわつき(さいたま市岩槻区太田3)で開催された。
同映画祭は2014(平成26)年に地域交流や映像・映画文化をさいたま市に根付かせる目的で、市公認のコンペティション映画祭として発足した。
9日には短編映画のコンペティションを行い、全国から応募のあった140作品から選んだ11作品を上映し、審査を行った。投票箱を場内に設置して観客からも投票を募り、受賞作品を決定した。グランプリには田野聖子監督の「アノサ カアサン」が選ばれ、さいたま市長賞を贈った。宮原悠監督の「生いたつ赤」が準グランプリと俳優賞、黒田晋平監督の「遠く離れて」が観客賞、小原正至監督の「ルサンティール」、岡本崇監督の「落日」が優秀企画賞を受賞した。
岩槻区在住の90代女性は「行きつけの店で映画祭の存在を知って以来、欠かさず来場している。友人たちと感想を言い合って交流できるこのイベントを毎年楽しみにしている」と話す。8日には「北図書館ショートフィルム制作プロジェクト」として市内の中学校や高校などに通う生徒たちが映像制作の専門家である藤橋誠さん指導の下、制作した短編映画を上映した。娘がプロジェクトに参加したさいたま市北区在住の40代女性は「高校1年の娘は今回で2度目の参加。プロジェクトに真剣に向き合う姿は普段では見られない一面であり、親としても新鮮な気付きをもらえた。4日間というタイトなスケジュールで作品を一から作り上げたメンバーたちを尊敬し、誇りに思う」と話す。
「レジェンド監督特集」では、第6回岩槻映画祭でグランプリを受賞した瑚海(さんごうみ)みどり監督の「ヴィスコンティに会いたくて」「橋の下で」の上映と瑚海監督と出演俳優陣がトークショーを行い、製作の経緯や撮影の思い出を振り返った。
「特別招待作品」として、全編にわたり岩槻で撮影した中泉裕矢監督の「i-ドール(売れないアイドルを救うのは、マネジャーかストーカーファンか)」を初公開した。本編終了後には中泉監督・出演俳優陣が舞台あいさつを行った。同映画祭実行委員会の齋藤淳会長は「岩槻には全国に誇れる景勝地が豊富にある。地元の慣れ親しんだすばらしい景色をスクリーンに映し出すことで、地元の方々に映画をさらに楽しんでもらいたいと考え、10年来の縁がありファンでもある中泉監督に製作を依頼した。多くの方々に支えられて完成したこの映画を全国に広めて岩槻の魅力を知ってほしい」と期待を込めた。