暮らす・働く

大宮・氷川参道で森の再生計画着工 歴史ある参道を次の100年につなぐ

「鎮守の杜100年プロジェクト」集合写真

「鎮守の杜100年プロジェクト」集合写真

  • 1

  •  

 氷川参道の土中環境改善と植栽により森の再生を目指す「武蔵一宮氷川神社『鎮守の杜100年プロジェクト』」の着工式が7月4日、武蔵一宮氷川神社(さいたま市大宮区高鼻町1)で行われた。主催は一般社団法人「green4(グリーンフォー)」(大宮区)。

目録を受け取る東角井権宮司と鈴木圭介さん

[広告]

 環境の保全活動を通じて学生と共に「社会との関わり方」を考える教育活動に取り組む同法人。代表でガーデンデザイナーの鈴木圭介さんは造園会社「soil(ソイル)」(大宮区)を経営している。8年ほど前、幼少期からの友人である同神社の権宮司、東角井真臣さんから、参道に立ち並ぶ高木の立ち枯れについて相談を受けた鈴木さんは、以後、植栽管理を担当してきた。しかし、新たに植えた木々が大きく育たない現状に課題を感じていたという。

 鈴木さんは「環境土木の専門家である高田造園設計事務所の高田宏臣さんの取り組みを知り、参道も土中環境から整え、森を作り直す必要があると考えた。大宮のシンボルである参道の危機に地域の人にも関心を持ってもらいたいと思い、クラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げた」と話す。呼びかけに応じた700人以上が賛同し、目標額の3倍を超える約1,600万円が集まった。

 施工区間は、二の鳥居から三の鳥居までの参道約400メートル。8月に本格的に土木工事を行い、9月以降に植樹を始める。来年7月からは、クラウドファンディングの返礼品となる名入り杭の設置を予定している。施工期間中、生科研関東営業所(浦和区)が土中環境の変移を調査・分析する。作業は2~3年で完了する見込み。

 着工式には、武蔵野みらいパートナーズ(大宮区)をはじめ、高田造園設計事務所(千葉県千葉市)、造園会社6社の庭師ら31人が参列。同神社拝殿で工事の安全を祈願した後、社務所で工事概要の説明や関係者の自己紹介を行い、連携を深めた。式後、三の鳥居前に移動し、高田さんが現状の問題点と改良手段を解説しながら施工デモンストレーションを実施。参加した庭師らは、高田さん指導の下、土壌の改善や植樹作業に取り組んだ。

 東角井権宮司は「約2500年、地域に守られてきた参道を次世代につなぐことも神職の重要な務め。江戸時代に中山道を通す計画が提案された際には、参道を残し街道を別に建設するよう地域の人々が幕府に陳情し、景観を守った。戦後に植えられた樹木が世代交代の時期を迎えているが、更新が進んでいないのが現状。未来の子どもたちに残す森を、当プロジェクトを通じて地域の人々と共につくっていけたら」と話す。

 施工に携わるsoilの庭師、手塚洵弥さんは「土壌の専門家である高田さんの指導を受けながらの作業は初めて。鈴木さんの地元でもあり、今後も継続的に管理に関わっていくことになると思う。第2の地元として貢献していきたい」と話す。

 鈴木さんは「参道の管理に携わりながら、私の知識不足から思うように進まないことに不満を感じていた。今回、多くの支援者や高田さんをはじめとする関係者の協力により、本格的に始動することができ、感謝の気持ちでいっぱい。プレッシャーもあるが、この地から環境保全のきっかけを発信し、一生をかけて次の100年に残る森づくりに取り組む覚悟」と決意を新たにする。

  • はてなブックマークに追加
エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース