さいたま市岩槻区の桜山中学校(岩槻区表慈恩寺)で11月30日、地元シェフが考案した給食が197人の生徒・教職員に提供された。
同市では2009年から小・中学生への食育の一環として、和食をはじめ、フレンチ・イタリアン・中華など、同市のホテルやレストランの第一線で活躍するシェフが、地場産物を使った献立を考えて調理する「地元シェフによる学校給食」を実施している。
この日、同校を訪れたのはパレスホテル大宮(大宮区桜木町1)で和食総料理長を務める鏑木富男さん。朝礼で、井山直之校長は「毎日の給食が、どんな食材を使い、どう調理されているのか関心を持ち、今日は和食の伝統的な文化についても考えてもらいたい」と鏑木さんを紹介。鏑木さんは「春から冬まで、季節感を料理の中に取り入れるのが日本料理。食べることの大切さを考えて、バランスよく食べられるといい」と話した。続いて生徒代表の給食委員の前期委員長が「いつもと違った給食を食べられることを楽しみにしている」とあいさつした。
献立は「秋大根と貝柱のご飯」「秋ジャケのゆかりネーズ焼き」「彩り野菜豚汁」「ゆず香あえ」「白玉ぜんざい」と、主食からデザートまで6品。地元岩槻の農家で取れた小松菜と米を使い、秋ジャケは焼いた上にゆかりと混ぜたマヨネーズにポテトを加えてさらに焼いたもので、手の込んだ一品となった。同校栄養士・土会平奈緒子さんは「いつもより手間をかけ、ご飯は昆布と貝柱のだし、豚汁にはかつお節でだしを取った」と、和食の良さを感じる献立に満足していた。
給食の時間には2年2組の生徒たちとともに鏑木さんも給食を囲んだ。「今日の給食を楽しみにしていた」「ご飯がいつもと違う。とってもおいしい」と、生徒たちは次々にお代わりしながら給食を楽しんだ。
学校給食に協力をして今年で5年目になる鏑木さん。「季節感を大切に、学校に合った献立を考えている。学校の調理員さんができること、プラスアルファのお手伝いができれば」と話す。「シェフによる学校給食」は昨年度までに106校で実施され、本年度も市内の小・中学校合わせて20校で実施予定。