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毎日興業「つながる活樹プロジェクト」 氷川神社の原木で再開発前の街に癒し

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 建物総合管理会社「毎日興業」(さいたま市大宮区桜木町2)が、氷川神社境内の間伐材を利活用して街の憩いの場をつくる「つながる活樹プロジェクト」に取り組んでいる。

氷川神社境内で役目を終えたケヤキが生命循環の舞台になったベンチ作品「毎日の森 今、ここに、新たに。」

 同プロジェクト立ち上げのきっかけは、さいたま市の再開発計画。同社桜木町オフィスと桜木町サテライトオフィスのある一帯は「さいたま市都市計画大宮駅西口3-A・D地区」に指定され、立ち退きが進んでいる。同プロジェクト担当の島田優里さんは「同地に1987年からオフィスを構えてきた会社として、街に感謝を伝えてから去りたいという思いから企画を始めた」と話す。

木陰に人が集まるイメージを描いて開かれた「maimaiテラス」

 当初は植栽を増やす予定だったが、創業期から関わりの深い「武蔵一宮氷川神社」(大宮区)から境内で役目を終えた老木の活用について相談があり、計画を変更。埼玉県が推進する「活樹(=木をただ伐るのではなく木材として活用する)」の考え方に基づき、「村田円芸」(入間郡毛呂山町)の協力を得て、氷川神社境内の原木を土台に木を植える「まちの安らぎを与える小さな森づくり」へとつながった。プロジェクト名の「つながる」には、こうした「縁」がつながって成り立った経緯と、人と人を結びたいという願い、そして森における命の循環の意味を込める。

山崎工務店倉庫の端材を加工した丸太イス

 同プロジェクトによる「小さな森」が設置されているのは同社の三つのオフィス。桜木町オフィスには、推定樹齢100年以上のケヤキの丸太を削り、植え込みと座面を施した作品「毎日の森 今、ここに、新たに。」を設置。桜木町サテライトオフィスでは、間伐材で囲いを作り、大地から木々が生える様子を再現。氷川参道オフィスでは、丸太の朽ちた部分を土壌に変えて植栽を施す。落ち葉やわらなどを使って自然に近い状態に保たれた小面積の土壌には、コナラ、ムクノキ、アジサイなどの木々に加え、雑草が生い茂り、アリが巣をつくるなど「小さな森」が育っている。

氷川神社境内で役目を終えたケヤキが生命循環の舞台になったベンチ作品「毎日の森 今、ここに、新たに。」

 島田さんは「桜木町オフィスを通りがかった方からは『立派な木だね』『いいものをつくってくれたね』という声をいただいている。近隣の教室に通う子どもたちの遊び場にもなっている様子でうれしい。会話が生まれたり子どもが集まったりして、“縁がつながる”という願いも少しかなっている」とほほ笑む。

氷川神社境内の切り株 樹木が老齢化し世代交代が進む

 「木陰に人が集まって新しい縁がつながる」というイメージに基づく取り組みは、同社の新ビル建設プロジェクト「八百毎屋(やおごとや)プロジェクト」でも行われている。建設予定地は現在、ジューンベリー、モミジ、カシの木の三種の樹木を植え、端材を利活用した丸太イスを並べた広場「maimai(マイマイ)テラス」として一般に開放している。同プロジェクト担当の清水千夏さんは「同ビルは街のためになる、人間らしいビルを目指して、地域の方々の声を聞きながら事業内容を決めていきたい。着工予定の来年6月まで毎月第1日曜にイベントを開催する予定。会社と地域のご縁、人と人のご縁づくりに“木陰の休憩所”がつながりのきっかけになれば」と期待する。

毎日興業・村田円芸が建設に参画した「氷川の杜ゆうすいてらす」にも、境内の木材や石、土が多様に利活用されている

 桜木町の工事開始後の作品設置については検討中。島田さんは「再開発を前に街並みが寂しくなってきたが、『この街はまだ生きている』ということを植物を通じて伝えたかった。大宮のシンボルである氷川神社とのつながりも感じられるこの“小さな森”の四季を、工事が始まるその日まで地域の方々にも楽しんでもらいたい」と話す。

毎日興業・桜木町オフィス


毎日興業グループ つながる活樹プロジェクト

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