創作漬物店「河村屋大宮本店」(さいたま市北区別所町、TEL 048-667-6733)が現在、「ぬか床キット」を販売している。
創業約200年になる老舗漬物店の同店。玉ねぎの漬物や、エリンギ、豆腐、チーズを使った創作漬物を中心に、旬の彩りを添えた浅漬けのほか、定番の古漬け、みそ漬けなどもそろえる。ギャラリースペース「一福庵」で「春のつけものカフェ」、夏に「米麹かき氷茶屋」を営業するなど、漬物や発酵食品の新しい取り入れ方も、地域の人に紹介している。
2012(平成24)年から毎年5月下旬から6月にかけて行っている「ぬか漬け教室」は予約開始とともに満席になる人気教室で、延べ1200人以上が参加しているという。同店店長で、同社の営業統括部長の染谷静香さんは「毎年参加してくれる人もいる。ここで作ったぬか床を小分けに冷凍して少しづつ家のぬか床に追加するという人もいる。そうすると、ぬか床が元気になる」と話す。
今年は、コロナウイルスの影響で教室の開催を断念した。「毎年楽しみにしてくれている皆さんに申し訳ない。コロナウイルスの影響もあり『発酵食品』がますます見直されている中、新しくぬか床を始めようと思った人もいるかもしれない」という思いから、「まじめに育てるぬか床キット」を企画。6月より販売している。
準備の都合上、1日の販売数は20セットだが、「教室は対面なので、定員に限りがあり毎年満席になり、来ることができなかった人がいるかもしれないが、今年は十分な数を準備したので、多くの人に挑戦してみてほしい」と話す。
対面で直接作り方を伝えられない代わりに、ぬか漬け教室で使用している「テキスト」「ぬか床育成手順書」、どこが問題か自分で分かる「質問用問診票」をキットに同梱(どうこん)し、さらに購入者限定で見ることができる「動画」も用意している。「手順書」は「自宅のぬか床の何が問題か教えてほしい」とぬか漬け教室の参加者が持ってくるぬか床を毎年20~30床『診て』きたデータをもとにまとめたものという。
染谷さんは「河村屋のぬか床は届いたその日から漬けられるものではなく、産膜酵母、乳酸菌、酪酸菌を合わせて『育てる』必要がある。野菜を漬けていく中で、味が染み込み、段々とそれぞれの家庭のぬか床の味が育っていく。難しくはないが、手間と時間はかかる。その分おいしく体に良い生きた乳酸菌が入った本物のぬか床を手に入れることができる」と話す。
新型コロナウイルスのこともあり、健康に関心が集まり、発酵食品を取り入れたい人も増えている。染谷さんは「よい発酵食品を取り入れたいなら、自分で乳酸菌を育てるのが一番。菌を育てるためには、菌の性質や育つ環境について学ぶ必要がある。市販されているぬか床の『手間がかからない』というスタイルとは違い河村屋のぬか床は手間と愛情が必要。子どものように世話してほしい」と話す。
営業時間は10時~18時。同セットは通販、大宮店で購入できる。価格は1,450円(税別)。