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さいたま市大宮公園舟遊池の干しあげ終わり「浅場」完成 貯水も開始

浅場の完成(画像提供=生態工房)

浅場の完成(画像提供=生態工房)

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 埼玉県営大宮公園(大宮区高鼻町4)舟遊池(しゅうゆういけ)で5カ月間の池底の干し上げと浅場造りが終わり、3月25日、関係者が見守る中、ポンプのスイッチを入れて貯水を開始した。

子ども用の胴長を着て小さなスコップで作業のお手伝い

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 2022年11月にかい掘りを行った同池。干し上げ中は、池底を観察する「池底ウオーク」を2回、池底の土を掘って岸辺に運び浅場を造る「浅場づくり」を4回行い、延べ100人が参加した。

 3月25日には、池守とボランティアが浅場の外側に土留め板と木杭を設置し、これまで浅場造りのイベントで盛った土を平らにならして仕上げ、浅場が完成した。池と陸地の間にできた浅場は、貯水が進むと水がひたひたの湿地になる。この湿地は移行帯(エコトーン)と呼び、湿生植物の生育場所となり、さまざまな稚魚や水生昆虫、水鳥のすみかとなる。

 小学3年生と2年生の子どもと家族4人でさいたま市見沼区からイベントに参加した女性は「娘は池底ウオークと浅場造りをテーマに動画を編集して小学校へ課題として提出した。子どもたちの環境への学びが深まり、泥んこになって思い出に残る楽しいイベントだった。大宮公園の舟遊池が、より身近になった」と話す。

 浅場の作業後には、関係者で「池守ランチ座談会」が行われ、弁当を食べながら作業中の思い出を振り返った。池守の一人は「中でも一番印象的だったのは『アリゲーターガー』の奇跡の捕獲劇」と話す。ガー目ガー科アトラクトステウス属のアリゲーターガーは北米に分布する最大の淡水魚。肉食のためエビ、カメ、水鳥などを捕食する外来種で、在来種の天敵となり生態系に深刻なダメージを与えるといわれている。舟遊池での目撃情報は以前よりあり、「幻の主(ぬし)」と池守の間では呼ばれていたという。アリゲーターガーの捕獲は池に落ちていた大きなかごを利用し、数人の池守達が協力して行った。

 池守の一人は「ペットとして飼いきれなくなった外来生物を地域の池や川に捨てると、もともとの生態系が壊滅して在来種が減ってしまうことを知った。これからも池の環境を見守りたい」と話す。

 同園スタジアム課の勅使川原将吾さんは「水のない池底を活用して実施してきた浅場造りも、参加いただいた皆さまのおかげで完成させることができた。今後、この浅場や池全体がたくさんの植物や生き物でにぎわうことを願っている。地域の皆さまをはじめ多くの方々に大宮公園を訪れていただき、一緒に環境の変化を見守っていただければ」と呼びかける。

 池に水が完全に貯まるまでは約2カ月かかる。4月からは、同園の白鳥池に移動し保護していた在来種の生物を舟遊池に戻す作業が始まる。水質浄化に伴い、ボート池としての復活も今後期待されているという。

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