「じぶんとからだ 性と生 ちいさな子どもと保護者のためのおしゃべり会」が11月9日、さいたま市男女共同参画推進センター「パートナーシップさいたま」(さいたま市大宮区桜木町1)で開かれ、小さな子どもを育てる夫婦らが参加した。主催は子育て支援団体「Dulces(ドルセ)」。
「じぶんとからだ 性と生」親しみやすい性教育の書籍も増えている
子育て中の親たちに「息抜きの時間」を提供することを目的に、さいたま市を中心に託児付き講座を運営する同団体。「親子で『性と生』に触れるきっかけをつくる」ことを目的とした同イベントは4回目。代表の宇野ジェシさんと、女性向け性教育講座を行う小松さやかさん、NPO法人「にじの絲(いと)」代表のよしのあいさんが共同で企画した。
おしゃべり会は「案内人」を務める3人の自己紹介で始まった。ときがわ町で「性のカタリバ」を運営するよしのさんは、自身の子ども時代について「性への興味がとても強かったが、両親とは話せず、ひそかにいろいろな情報や経験を得ていた」と振り返った。小さいうちから親子で話せる関係性を築く大切さや、正しい知識を伝えておくことの重要性を伝えた。続けて、生殖や人間関係、人権など8つのコンセプトを年齢に応じて学ぶ「包括的性教育」(国際セクシャリティ教育ガイダンス/ユネスコ)を紹介した。
おしゃべりタイムは事前アンケートを基に進行した。「性教育について何をどう教えたらいいか困っている」という項目には全員が「はい」と回答。案内人らは「日常生活における『性教育』を伝えるチャンスとなる場面」を紹介した。
絵本の紹介では、和歌山静子さんによる幼児向け性教育絵本「ぼくのはなし」の読み聞かせを行った。最後は、同意・不同意を学ぶ「ふれあいサイコロゲーム」を全員で体験。小松さんは「このゲームを通じて、断ることや断られることに慣れたり、『なかなか答えられないのはノーの意味』と受け止めたりする土台ができると思う。教育現場でも、もっと広がれば」と話した。
宇野さんは「初回開催時は申し込みがなく、友人が1人参加してくれた程度だったが、回を重ねるごとに参加が増えてきて関心が高まっていると感じる。最近は周囲で『更年期が心配』という声が増え、来月14日は『更年期』『フェムケア』『災害時の生理用品の備えや工夫』についてのおしゃべり会も開く。子どもだけでなく母親自身の体も大切にするきっかけになる場所を、これからもつくっていきたい」と話す。
家族で参加した市内在住の40代女性は「学校でもプライベートでも『性』の話題に触れた経験が少なく、子どもに教えることが必要になったときに、どう伝えたらいいかと不安だった。子どもが小さいうちから伝えておくことで、大きくなってからも相談しやすい親子関係になるのではと感じた。家庭でも絵本を読み聞かせてみたい」と話していた。