子どもの無病息災を願う節句行事「2026人形のまち岩槻流しびな」が3月1日、岩槻城址公園(さいたま市岩槻区太田3)の菖蒲池で行われ、約5000人が来場し、900個の「さん俵」が願いを運んだ。
「人形のまち」として名高い同地域。同行事は、岩槻人形協同組合が「地域のにぎわいづくりと、人形を飾る節句文化をより広く知ってもらう機会に」と1987(昭和62)年に始めた。
「流しびな」は、子どもたちの健やかな成長を願い、わらで編んだ俵のふたに紙人形をのせた「さん俵」を池や川に流す風物行事。平安時代、上巳(じょうし)の節句(3月3日)に一年間の無病息災を祈って行われていた人形(ひとがた)流しに由来し、ひな人形の原型ともいわれる。
当日は「武州岩槻総鎮守 久伊豆神社」の馬場裕彦宮司によるおはらいの後、流しびなを開始。清水勇人さいたま市長や第18代「さいたま小町」ら来賓が行った後、来場者が次々と願い事を書いた紙と共にさん俵を流していた。会場では「白菊幼稚園」(同区)鼓笛隊や「筝(そう)曲福寿会」(同区)による演奏も行われたほか、己書(おのれしょ)師範・眞中義治さんの己書コーナーやキッチンカーも3台出店し、来場者を楽しませた。
同行事の「さん俵」は、一般社団法人「とまりぎ」が運営する就労継続支援B型事業所「ふくふく東町作業所」(同区)が制作。同生活支援員の山口紗弥さんは「昨年11月から4、5人でわら編み、2人が人形の顔描きを担当して1000個ほどを作った。地域の行事にこうして関われることを職員も利用者も誇らしく感じている」と話す。
同委員の田中隆さんは「人形は、顔、結髪、着物、小道具、台座など、それぞれに専門の職人がいて、その力が合わさって出来上がる。職人の数も、人形を飾る家庭も減っているが、こうした行事を通じて少しでも関心を持ってもらえたら」と話し、同委員長の矢作悦士さんは「毎年、岩槻ではまち全体で『ひなめぐり』を企画し、3月第1日曜日に『流しびな』を開いている。『人形のまち岩槻』を楽しんでもらえるイベントを今後も続けていきたい」と意気込む。
初めて筝曲の演奏に参加した小学6年の神道燈さんは「先生と弟と3人で演奏する。とても楽しみだが緊張する。流しびなの願い事の紙には『演奏が成功しますように』と書いた」と話し、舞台に向かった。小学生の子ども2人と訪れた内野巧也さんは「毎年来場している。子どもたちには、こうした文化のある岩槻を誇りに思って育ってもらえるとうれしい」と話していた。