さいたま市の埼玉大学教育学部附属中学校で12月14日、財政教育プログラムの特別授業が行われた。主催は財務省関東財務局と同中学校。
同プログラムは財政について、日本の現状を理解し、社会保障制度改革案を作成するグループワークを通じて興味関心を高め、自分自身の将来に関わる「自分事」として生徒に考えてもらおうとするもの。3年生の生徒約170人がクラスごとに受講した。
授業では、受益と負担がアンバランスな現状の日本の社会保障制度を持続可能で安心なものにするために、政府の社会保障支出額と国民の負担額を増減する改革案をグループごとに考えた。
12月8日に行われた事前学習と各自で調べた内容を踏まえ、諸外国の例を参考にどんな政府を目指すか、財源の確保や配分をどうするか、グループでさまざまな意見が交わされた。話し合いの後の発表と質疑応答でも、活発なやり取りがあった。
授業に参加した3年3組の佐々木洸さんは、「一方を良くしようとすると一方が良くなくなるという具合に、問題が絡み合っていて難しいテーマだったが、自分のことと捉えて、これからも考えていかなければと思った」と感想を話した。
講師を務めた財務省関東財務局 総務部 経済調査課長の若尾仁さんは、「自分事化が第一歩。財政にとどまらずいろいろな課題があるが、まずは興味を持って他人事ではなく自分事として考えてもらいたい。838兆円という累積債務は将来世代の負担。より良い方法の知恵を出し合ってもらいたい」と、同プログラムの目的について話した。