さいたま市中央区役所(中央区下落合5)の外壁で現在、さいたま出身在住の若手画家、寿の色(じゅのしき)こと鈴木香奈子さんが「インスタ映えする壁画」の制作を行っている。
同区役所前には2016年9月までSLが展示してあったが、老朽化に伴い撤去された。空いて寂しくなってしまったスペースで何かしたいと、区の若手職員11人が構成するプロジェクトチーム「課題検討グループ」が昨年秋に「映画上映会」、クリスマスに「手作りイルミネーションの設置」などを行ってきた。
同プロジェクトマネジャーの澤口菜子さんは「中央区に住んでいる若手画家の方が、浦和区や中央区で壁にすてきな絵を描いていると聞き、大きなキャンバスとして使ってもらいたいと思った」と話す。
鈴木さんは、さいたま生まれのさいたま育ち。中央区の路地裏ガレージマーケットでの個展や、大宮でのイベントでライブペインティング行うほか、絵の教室も開くなど、さいたまを中心に活動している。
壁画は、区役所の壁に板を複数枚貼り付け、横360センチ×縦270センチのキャンパスにし、その上にペンキで描く。寿の色さんは「まさか区役所の壁に描く機会を頂けるとは思わなかった。こんな大きなサイズにびっしりと描くのは初めてで、通り掛かる人にも注目されていて、身が引き締まる思いで描いている」と話す。
テーマは「市民や区民の皆さんに大きく羽ばたいてほしい」と天使の羽をモチーフにする。背景はさいたま市10区の「区のカラー」で彩られている。寿の色さんは「SNSを通じて話題になっている『天使の羽を描いた壁』が中央区にもあったら、皆さんに楽しんでいただけると思って」と話す。「坂本区長からのリクエストで、中央区の花『バラ』も入れる予定。思わず写真を撮りたくなるような絵にするつもり。通りすがりに、何かの記念に、いろいろなタイミングで写真を撮ってもらえるスポットにしたい」とも。
澤口さんは「コストを掛けないように工夫して作業する機会も多いのでDIYがどんどん得意になっていく」と笑う。「中央区はさいたま芸術劇場もある『芸術の街』。これを機会にますます区民の皆さんがアートを身近に思っていただけたら」とも。
坂本知子区長は「3月の卒業シーズンに写真スポットとして使ってもらえるよう間に合わせてほしいと鈴木さんにお願いした。SLはなくなってしまったが、この場所が区民の憩いの場になったらうれしい。私も制作を手伝ってみたら、とても楽しかった。制作過程も見に来ていただけたら」と呼び掛ける。
完成は2月23日ごろの予定。