大宮駅東口の大栄橋下の「カレーハウス一番館」(さいたま市大宮区宮町1)が2月23日、26年の歴史に幕を閉じた。
昼はカレーをメインとしたランチ、夕方からは居酒屋として営業していた同店。店主の新野忠史さんは、同店の前に洋食店を16年営んでいたこともあり、メニューにはサーロインステーキ、ビーフシチュー、マカロニグラタンなどもそろえていた。新野さんは「ソースカツはカレー屋だから、ソースをカレー味にしていたのがうちのオリジナル」と話す。
「自分一人で思うようにやりたい」と料理は新野さんが全て作り、夕方からはパート1人に来てもらい注文や配膳をしていたという。新野さんは「8時から仕込み、ランチを営業して、3時から5時まで昼寝。夕方から23時過ぎまで営業という毎日を26年間続けてきた。肋骨(ろっこつ)を折って休んだ時以外は、風邪もひかずに休むことはなかった」と振り返る。
常連客が多いので、季節の食材を取り入れ毎日2~3品、メニューを変えた。新野さんは「毎日来てもらえるようにと『安くてうまい』を心掛けてきた」と話す。近くにあるメガネフラワー大宮東口店の吉田友彦さんは「カレーだけでなく何を食べてもおいしく、特にチキンカツが絶品だった。とても悲しいが、長い間お疲れさまでした」と残念そうに話す。新野さんが大宮のサッカーチーム・アルディージャのサポーターだったため、試合後はサポーター仲間と「反省会」で盛り上がったこともあるという。
新野さんは「26年間のほとんどをここで過ごしてきた。孫がアルバイトに来てくれたり、誕生会をここでやってカルボナーラをリクエストしてくれたり、思い出も多い。孫が小学校の卒業文集に『じいじの後を継ぎたい』と書いてくれた時はジーンとした。2月に入ってからは朝起きると『もうすぐ終わりだ』と寂しくなった」と名残惜しそうに話す。「来てくれたお客さま、支えてくれた家族にありがとうと言いたい。頑固おやじの店があったなと思い出してもらえたら」