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さいたま新都心の小児患者と家族の「ドナルド・マクドナルド・ハウス」1周年

1周年を迎えたさいたま新都心の「ドナルド・マクドナルド・ハウス さいたま」

1周年を迎えたさいたま新都心の「ドナルド・マクドナルド・ハウス さいたま」

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 さいたま新都心にある小児患者と家族のための滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス さいたま」(さいたま市中央区新都心1)が開設1周年を迎え、1月26日に記念式典が行われた。

施設を利用したことのある小山さん親子。治療を乗り越えての笑顔

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 同施設は、さいたま新都心に昨年1月に移転開設された埼玉県立小児医療センターの建物内の6階にあり、公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンのスタッフと地域ボランティアが運営する。「わが家のようにくつろげる第二の家」をコンセプトに、キッチンやリビング、ランドリールームなどを備え、患者家族は1日1,000円、本人は無料で利用できる。部屋数は7室で、20歳未満の患者とその家族が利用対象。2016年12月27日の開設から2017年12月31日まで約1年間に延べ327家族666人の利用があった。県内在住の患者家族を中心に、東京都と千葉県に住む患者家族の利用もあった。

 記念式典では同医療センター血液・腫瘍科科長の康勝好さんが「小児がんの治療とケア」と題して講演した。康さんは「小児がんは現在では約70%から80%が治癒する」と話し、「治療には適切な医療に加え学校や行政、ボランティアなど地域の支援によるケアが必要」と説明した。式典ではそのほかボランティア代表への表彰や、施設利用者の声の紹介、手芸サークルボランティアによるキルトのベッドカバー披露などが行われた。

 同施設を利用したことのある吉川市に住む小山修平さんは、現在生後8カ月の真平君が生まれたとき出産と同時に入院治療となり、約2カ月半にわたる入院期間の後半の1カ月間、同施設に滞在したという。「ビジネスホテルなどは長期滞在ができないが、ここで1カ所にずっといられ、金額面でもとても助かった。毎日通勤前と帰宅後すぐに子どもに会いに行くことができたのが一番よかった」と小山さん。妻の佐智子さんは「ここにいられたことで、薬の投与など子どものケアの説明を受けるときも、忙しく働く病院スタッフとスケジュールを合わせやすかった。ボランティアの方々の言葉の端々に温かさが感じられてリラックスできた」とほほ笑む。真平君はすくすく成長し、もうすぐ通常の生活を送れる予定だという。

 地域ボランティアの登録は現在261人。新聞を見て応募したという中央区在住の山田扶佐子さんは「初めての経験で分からないことが多く、今後も続けていけるか不安だった。今日、利用者の話や医師の講義を聴いて、これからもがんばっていこうと気持ちを新たにした」と笑顔を見せる。浦和区に住む岩井紀子さんは「利用者の心情は人それぞれだと思うので、踏み込みすぎず、さりげない笑顔や言葉がけで迎えることをいつも頭に置いている」と話す。

 同施設の運営と広報を担当する山本実香子さんは「既存の11のハウスのノウハウを引き継ぎボランティアスタッフの意見も取り入れながら、手探りで進めてきた。医療サイドの協力もあり、地域を巻き込みながら1年間続けることができ、多くの方々に利用をいただきうれしく思う。今後は現在受け入れができていない方々に対して、例えば近隣の宿泊施設と提携して紹介するなどサポート体制を整えていきたい」と話す。

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