開村100周年を迎えた大宮盆栽村の「盆栽四季の家」(さいたま市北区盆栽町)で10月19日、「秋の大宮盆栽村さんぽ スイーツ&ティーイベント」が開かれた。主催はさいたま市。
大宮盆栽村は、大宮公園北側の東武アーバンパークラインとJR宇都宮線に囲まれたエリアの総称。1923(大正12)年の関東大震災をきっかけに、盆栽に適した関東ローム層の赤土と豊富な地下水を求め、東京の盆栽業者らが集団移住し、1925(大正14)年に開村した。現在も数軒の盆栽園が所在し、国内外の盆栽愛好家が多く訪れている。
さいたま市は菓子類の消費額が多く、ケーキの消費額は2023年と2024年の2年連続で全国1位。この高さを背景に、市は市内で作られた菓子を「さいたまスイーツ」として紹介している。同イベントは、この「さいたまスイーツ」を楽しみながら大宮盆栽村を訪れてもらう機会を設けることを目的に企画した。
オープニングセレモニーには清水勇人さいたま市長、伊藤仕(まなぶ)市議会議長、俳優の高橋ひかるさんが登壇。清水市長は「大宮盆栽村開村100周年の今年は、さまざまな行事を行っている。さいたま市が世界に誇る盆栽の素晴らしさを伝えていきたい」とあいさつした。
この後、和菓子デザイナーの諸星みどりさんが創作した季節の和スイーツ「秋の木の葉の琥珀(こはく)糖」を紹介。諸星さんは「秋の木の葉をイメージしながら、100年続いた大宮盆栽村がこれからも羽ばたいていくような『翼』を意識した」と説明。大宮国際中等教育学校の生徒が考案し、スイーツ店「パティスリー ポルトボヌール」の協力で完成した限定スイーツ「BON」も振る舞った。
自らも盆栽を育て、大宮盆栽村100周年のアンバサダーを務める高橋さんは「アンバサダーとして、長い間守られてきた盆栽文化の魅力を伝えていけることをうれしく思う。地域の方々にも、家族と一緒に盆栽を見たり育てたりしながら、自分のお気に入りのスタイルを見つけ、盆栽に愛着を持ってもらえたら」と話した。
イベントでは、和室にさまざまな盆栽を飾り、諸星さんが各テーブルをスタイリング。参加者は提供された「さいたまスイーツ」を自由に並べ、盆栽鑑賞とスイーツの味わいを楽しんだ。東大宮在住の30代男性は「モードな印象のお菓子やかんきつ系のお菓子など、それぞれに個性があり、とてもおいしい」と話す。母親と訪れた植竹小3年の女児は「自分が好きな工作のようにスイーツを並べて食べることができて楽しかった」と話していた。
さいたま市文化政策室の小野瀬淑子室長は「海外では盆栽人気が高まっている一方で、国内の若い世代にはまだなじみがない方も多い。さいたま市では次世代に向けた盆栽振興策を計画している。行政だけでなく、大宮盆栽協同組合や地元住民の皆さんと協力しながら、日本の伝統文化である盆栽を次世代に受け継ぎ、その魅力を伝えていきたい」と意気込む。