さいたま岩槻で10月30日~11月24日、世界から集まった6人のアーティストが「Home」をテーマにした創作活動を行う「Homebase Project SAITAMA 2015」が行われた。主催はさいたまトリエンナーレ実行委員会。
わらを敷き詰めた「ねぐら」から大型の動物の剥製が叫びながら動く飯島浩二さんの「Where is our Home?」
アーティストが一定期間さまざまな都市に滞在し、リサーチや創作活動を通して「Homeとは何か」を問う同プロジェクト。2006~2009年にニューヨークを皮切りに、2010年にベルリン、2014~2015年にエルサレムで行われてきた。今回は、来年開催される「さいたまトリエンナーレ2016」のプレイベントとして、人形の街として知られる岩槻の老舗人形店「東玉」の社員寮を舞台に行われた。
参加したのは、イスラエル、アルゼンチン、ギリシャ、中国、日本の5カ国のアーティスト。10月30日から約3週間、会場となる社員寮に滞在しながら、地域の歴史・文化的施設の訪問や伝統行事への参加、地域住民や職人へのインタビューなどを基に「ホーム(家)」をテーマとした作品のコンセプトを落とし込み、自室での制作活動を行った。11月20日~24日に行われた作品公開「オープンハウス」では、アーティスト自身が各部屋を案内するツアーやトークも行われ、国内外から多くの人が会場を訪れた。
3階建ての社員寮の約6畳の畳部屋には、寮に残されていたものや地域住民の協力で集めた材料などを用いて制作した6部屋の作品が並んだ。部屋いっぱいに輪を描くように箸と茶わんと量りを並べた部屋の「大円卓-君と僕の間の重さ」と題された中国出身の潘逸舟さんの作品や、わらを敷き詰めた「ねぐら」から大型の動物の剥製が5カ国語で叫びながら動く市内在住のアーティスト・飯島浩二さんの作品などが展示された。
作品を見に訪れた市内在住の男性は「各作品に、私たちには気づかない日本の風習や、岩槻の人形文化へのオマージュなどが込められていて、とても興味深かった」と話した。
今回のプロジェクトについて、飯島さんは「岩槻の歴史や文化をあらためて勉強する中で、地域住民と深い交流ができ、多くの発見があった。同じ時間を過ごし一緒に制作活動を行った各国のアーティストとは、家族のようになった」と成果を語った。
同プロジェクトは、来年の「さいたまトリエンナーレ2016」でも再び行われる予定。