がんの切除と人工関節の置換手術から4年、夢を実現するためにリハビリを続けている大宮アルディージャのアンバサダー・塚本泰史さんが7月31日、仙台までの約350キロを自転車で走破するチャレンジに出発した。
塚本さんは、大宮アルディージャのディフェンダーとして活躍していた2010年2月、右大腿(だいたい)骨が骨肉腫に罹患(りかん)していたことを発表し、3月に患部の切除と人工関節への置換手術を受けた。2012年には大宮アルディージャのアンバサダーに就任し、試合やイベント会場などでクラブPR活動を行いながら、「再びピッチに立つ」ことを目標に日々リハビリを続けている。
「入院や治療を受ける中で多くの人に応援してもらうことで勇気づけられた。併せて、同じように病気と闘う多くの人の存在を知った」と塚本さん。「応援してくれた人への恩返しと、病気と闘う人を勇気づけたい」と、2012年に東京マラソンのフルマラソン、2013年に麓からの富士山登頂に挑戦、見事達成してきた。
2014年は、来年のトライアスロン挑戦を視野に自転車での長距離走破チャレンジを行うことにした。国道4号線沿いを北上した後、沿岸部を走り、東日本大震災の被災地の現状をリポートしながら移動し、大宮アルディージャ対ベガルタ仙台の試合が行われるユアテックスタジアム仙台に到着する予定だ。
塚本さんのチャレンジに対して、ベルギーの老舗自転車ブランド「THOMPSON」を展開するHAMASHO(東京都荒川区)が自転車を提供するなどサポート体制も整った。
今回のチャレンジには、過去と同様に兄の浩史さんも同行する。「自転車での長距離走破は、過去に挑戦したフルマラソンや富士山よりきついと聞いているが、絶対に成功させたい。できる限り沿岸部を通ることで被災地の現状を自分の目で見て皆さんにもお伝えしたい」と意気込みを見せる。
見送りに訪れたサポーターの田村由美さんは「挑戦を続ける彼を尊敬する。事故なく、無事にゴールしてほしい」とエールを送る。同じく高花康則さんは「塚本さんの挑戦に僕らも勇気づけられている。8月2日は、笑顔でゴールする彼をスタジアムで迎えたい」と話す。
31日早朝、塚本さんらは大宮氷川神社を参拝し道中の安全を祈願。見送りに訪れた約30人のサポーターに見送られ、NACK5スタジアム大宮から出発した。塚本泰史さんの新たな挑戦が始まった。