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大宮「埼玉県産の食材のみ」の小料理店が1周年 制約で新たなメニューも

味付けに埼玉県産のおなめ(なめみそ)を使った定番メニュー「大麦のサラダ」

味付けに埼玉県産のおなめ(なめみそ)を使った定番メニュー「大麦のサラダ」

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 埼玉県産の食材のみを使う料理店「デリカ」(さいたま市大宮区宮町3、TEL 048-856-9522)が3月28日、1周年を迎えた。

ジャンボンブラン(豚の自家製ハム)を手にする店主の山崎さん

 大宮駅から徒歩10分ほどの氷川参道近くにオープンした同店。調味料と一部のワインを除き、料理とドリンクには全て埼玉県産の素材を使う。さいたま市出身の店主・山崎暢さんが一人で切り盛りし、その日の仕入れによって毎日メニューを変え、定番メニューも使う野菜やスパイスに変化をつけている。都内のフレンチレストランやワインバーで働いていた経験をベースに、ジャンルにはこだわらず、季節を感じられる料理を提供する。

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 今月提供したメニューは、大麦のサラダ(1,000円)や鶏ムネ肉とパクチーの和え物(800円)、ローストポークとニンジン(2,000円)など。ドリンクは生ビール(600円~)やワイン(800円~)、氷出しの緑茶(500円)などを用意する。

 埼玉県産にこだわるのは、7年ほど前にたまたま県産のおいしい食材に出合い、「地元にもこんなにいいものがあるんだ」と驚いたことがきっかけという。それから毎週のように県内の産直市場へ通うようになり、「埼玉県産の食材だけ」というテーマで店を出そうと決めた。山崎さんは「おいしいものは日本全国にあるが、食べた人が『その土地に行ってまた食べてみよう』と思っても、遠いと気軽に行くことができない。でも例えば上尾産のトマトなら、大宮で食べてその週末に現地へ行ってみることもできる。食べた人が地元の食材を再発見することで、農家の刺激になるなど、新たな循環が生まれたら」と期待を込める。

 野菜は、さいたま市内や秩父の農家から直接調達する。「こちらから種類を指定するのではなく、農家の人から『今日はこれだよ』と渡されるので、どんな野菜が来るかは当日まで分からない。普通の飲食店のように、このメニューを作るためにこの食材を注文しよう、という考え方ではなく、今ある食材でどこまでやれるか、という発想でメニューを考えている」。仕入れた野菜の一部は店内でも販売する。

 豚肉は、一般の精肉店で手に入る入間産の地豚を使う。「あえてブランド化せず、地域の人に安価でおいしい豚を食べてほしいという考えで作られている肉」だといい、味はもちろん考え方にもほれ込み、ローストや、自家製のハムやソーセージに加工して提供している。幸手から仕入れる鴨肉も同店の定番。埼玉県には海が無いため、海で捕れる魚の料理は提供しない。

 「埼玉県産だけ」という制約が、新たなメニューを生み出すきっかけとなったこともある。埼玉県ではコーヒーが栽培されていないため、代わりに狭山茶をドリンクメニューに取り入れ、それに合うデザートとして水ようかんを作るようになった。水ようかんに使う県産の小豆は一年中出回るわけではなく、9月ごろに市場から姿を消して11月末ごろから新物が出回り始める。

 山崎さんは「お汁粉がお正月に食べられているのは、小豆が冬に出回るからなのか、と腑に落ちた。ほかにも、県産の玉ねぎは11月ごろから数カ月は市場から無くなることを、この1年で初めて知り、その間は長ねぎで代用するなど、あるもので工夫しながら新たなメニューを発想している」と明かす。

 「『埼玉県産だけ』というニッチすぎるテーマで、変な店だと思われているはず。2年目はさらに変な店に進化して、他人とは違う発想で、来る人がはっとするようなことをやりたい」と抱負を語る。「1人で対応するためお待たせすることもあるので、来店前に電話で問い合わせてもらえれば。時間に余裕を持って、あまり期待しすぎず、不便で変な店をゆっくりと楽しんでほしい」とも。

営業時間は14時~21時。火曜定休。

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