ドローンビジネス支援セミナーが2月4日、ソニックシティーホール4階国際会議室(さいたま市大宮区桜木町1)で開催された。主催は埼玉県先端産業課。
さまざまな分野での活用が進んでいるドローンを利用し、ビジネス市場への県内企業の参入を促進するための支援として企画された同セミナー。個人や自治体、建設・土木・不動産業界等から募集人数70名のところ101人の参加があり、ドローンビジネスへの関心の高さをうかがわせた。
国土交通省航空局安全部安全企画課主査の松隈(まつぐま)洋平さんは「無人航空機に係る航空法の概要と環境整備に向けた取組」を紹介。無人航空機に係る航空法の概要や無人航空機を飛行させる際に、航空機・他の無人航空機との接触回避を図ることを目的とした飛行情報共有システムなどについて話した。
三菱総合研究所(MRI)次世代インフラ事業本部インフラオペレーショングループのサーヴェドラ・ネアントロさんは「ドローンを活用したビジネス創出」について、海外の事例を挙げて解説した。今後ドローンの利用が進み、機体や人や電波が密集することで顕在化する様々なリスクに備えるための航空交通管制システムが必要であること、ドローンの技術の先進的な応用例として、開発が盛んになってきているeVTOL(イーブイトール=空飛ぶクルマ)の社会実装の実現について、都市開発までも含めた未来の展望を話し、産官学のエコシステムの重要性を説明した。
埼玉県上尾市で、ドローンやAI(人工知能)のサービスの企画開発、販売、コンサルティングを手掛ける「アルガリ」社長の岩田昇資さんは「ドローン活用ビジネス 実践」について、UAV(無人航空機)とROV(無人潜水艇)の防災や点検での活用事例を挙げ、「ドローンは目的ではなく手段。自分の事業のために使わないといけない状況下で、道具としてドローンを使うことを第一義にしてほしい」とセミナー参加者に呼び掛けた。今後はUAVの空撮データの連携による文化財保護や、ROVでは福祉分野で、遠隔地からアバターによる水中体験ができるなど、活用も発展していくという。
セミナー会場ではサイニチドローンスクール(JUAVACドローンエキスパートアカデミー大宮校)が、測量に使う専用のドローンや、最新機種のマビックミニなどの実機を用意し、ドローンについて積極的に質問をする参加者でにぎわった。
埼玉県では、現在推進している埼玉県先端産業創造プロジェクトで、今後成長が見込まれる「ナノカーボン」「医療イノベーション」「ロボット」「新エネルギー」「航空・宇宙」の5分野を重点分野として集中投資し、新たな産業の育成を目指している。ドローンは「航空・宇宙」分野に当たる。
埼玉県産業労働部先端産業課推進担当の鈴木啓太さんは「ドローンビジネスセミナーはこれからドローンビジネスを始める人や、まだ情報の少ない人向けとなっている。埼玉発のドローンビジネスを始めるきっかけになれば」と話す。
埼玉県先端産業創造プロジェクトでは今後もさまざまな交流会やセミナーを準備している。問い合わせは、埼玉県産業労働部先端産業課(TEL 048-830-3736)まで。