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さいたま市の小学校でヤギの双子誕生 保護者有志「ヤギ部」が学校と連携で飼育

ヤギの赤ちゃんに興味津々

ヤギの赤ちゃんに興味津々

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 さいたま市立芝川小学校(さいたま市大宮区天沼町2)でヤギが双子を出産して1カ月がたった。

太陽を浴びてうとうとする子ヤギ

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 保護者が立ち上げた「ヤギ部」が中心となり、世話をしているかえで(オス)、さくら(メス)、昨年生まれたけやき(オス)の3匹のファミリーに1月23日、2匹の新しい家族が増えた。

 佐藤利春校長が一番に発見した。朝出勤すると、さくらの様子がいつもと違ったという。職員室へ上がりしばらくすると、いつもと違う鳴き声が聞こえてきた。「昨年の経験からこれはお産に違いないと見に行くと、1匹の赤ちゃんが生まれていた」と振り返る。出産したのにまだ横たわるさくらを不思議に思い見ていると、2匹目が産まれてきた。「急いでヤギ部のメンバーにラインで連絡した。子どもたちにも登校時に知らせると、飼育小屋の周りに集まって大喜びだった」とも。

 同校には2014(平成26)年に発足した保護者の男性がメンバーの「おやじの会」がある。キャンプファイアや焼き芋など、親子で参加できる集まりを行うなど交流している。現PTA会長でおやじの会、ヤギ部の代表の岡野友敬さんは「運動会の片付けなども率先して手伝うので、あっという間に終わる」とほほ笑む。

 学校に足を運ぶ機会も多い岡野さんたちは、「学校にヤギがいたら面白いのでは」という思い付きから、実際にヤギを飼育している施設に足を運んだり、飼育経験者にアドバイスをもらったりしつつ、学校側と話し合い、世話を保護者の中の希望者、できる人が担当するという仕組みを提案。「ヤギ部」を立ち上げ、2019(平成31)年2月、かえでとさくらのつがいを引き取った。当時すでに妊娠していたさくらは、5月に1頭目を出産している。

 児童たちは、朝の登校時や休み時間などにヤギと触れ合う。「かわいい」「赤ちゃん小さい」と近くに寄る児童、「触りたいけどちょっと怖い」と少し遠くから見守る児童などさまざま。

 朝夕の散歩、餌やりなど、今は主に岡野さんが担当している。「ヤギは懐かない動物かなと思ったが、集団行動をする動物なので、散歩すればちゃんとついてくるしかわいい」と岡野さん。芝川小は芝川の土手の近くで、自然も多い。「環境としてはすごくいい。でも匂いが出ないようなど配慮している」という。大変なのはたくさん食べるため「餌の確保」という。だが、ヤギを飼っていることが近隣に知られてくると、目の前にある畑で作業する人や、近所の人などが、野菜などの差し入れをしてくれるようになった。

 近所の保育園が散歩の途中に寄って見ていったり、「昔飼っていた」「飼いたかった」と話しながら見ていったりする人など、地域の輪が広がっているという。佐藤校長は「小学生の子どもがいない世代の人にも学校と関わってもらうきっかけになり、地域の防犯にも一役かっている。最初は大型動物を飼ったことがなかったので戸惑いがあったが、それに付随する良い効果が大きい。ヤギを飼っている小学校もさいたま市ではここだけだし、ヤギの出産に2回も立ち会っている校長もなかなかいない。貴重な体験」とほほ笑む。「赤ちゃんを見に来ていただけたら」とも。

 子ヤギの名前はこれから児童たちと考えるという。

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