花店「cotoho(コトホ)」(さいたま市大宮区天沼町1、TEL 048-729-8768)がオープンから1カ月を迎えた。
店主の藤波真由さんは、アパレル業界に勤務しながら習い事として学んでいたフラワーアレンジメントを通して花に魅了されたという。「自分自身が大変な状況にあった時に花に救われた経験があり、これを仕事として続けていきたいと思った」ことから、12年前、花業界に転職。「自分の思いを表現した店舗を持つ」という目標に向けて、3社で修業を積みながら、花店、ブライダル、生け込み、装飾などのスキルを磨いてきた。
開業に当たっては、藤波さんの出身地でもあるさいたま市内を中心に物件を検討。藤波さんは「『お客さまには静かな空間でゆっくり花を選んでほしい』と考えて、あえて駅前や大通り沿いではない場所での開業にこだわった」と話す。2020年冬に元倉庫だったという現店舗の物件を決め、藤波さん自身が思い描く空間を実現するため、壁塗りや店内に置く什器(じゅうき)の制作も自ら手掛けたという。
店名の「cotoho」は、日本語の「寿(ことほ)ぐ」が由来。「おめでたい言葉を口にすることで、相手に対する幸福が現実にかないますようにと願う。『寿ぐ』という言葉に込められたそんな優しい営みに、自らの思いを重ねて名付けた」と藤波さん。
およそ30坪の店内には1本から購入できる切り花や観葉植物のほか、手土産や自宅用として用意するミニブーケなどが豊富に並ぶ。「周りのお客さんや時間に気を遣うことなく、じっくり花を選んでほしい」と花同士の間隔を空けゆったりと並べ、通路の幅も広く取っている。切り花の値段も種類ごとに明示し、安心して選んでもらえる環境づくりに気を配っているという。5月25日のオープン以来、近隣住民のほか、隣接するカフェの利用前後に立ち寄る客や遠方から足を運ぶ人も増えつつあり喜ばしく思う一方で、店の前で入店を迷う客の姿も目にするという。藤波さんは「花店は『目的がなければ入ってはいけない』『必ず何か買わなくてはいけない』と思われがちだが、ただ花を愛(め)でに来るだけでも大丈夫。おしゃべりを楽しむ感覚で気軽に立ち寄ってもらえたら」とほほ笑む。
店内では毎月内容が変わる単発のレッスンも行う。定員は少人数、レッスンの日は店内を大幅に模様替えし参加者同士の間隔を広くとるなど、感染症対策にも配慮。藤波さんは「これまでのレッスンには、さまざまな職業の方々やママたちに足を運んでもらっている。レッスンや買い物での出会いが、お客さま同士の輪を広げるきっかけになれば」と話す。
営業時間は11時~18時。木曜、第2・3水曜定休。近隣エリアには自車配達も可能。宅配による配送にも対応。