さいたま見沼の中山神社で12月8日、伝統の火渡り神事「鎮火祭」が行われ、地域住民を中心に120人以上が集まった。
同社の鎮火祭は、「新編武蔵風土記」にも記載されているなど、古くから伝わる伝統の神事。しかし、同祭を行ってきた講の跡継ぎがいなくなったことや、まきにするアカマツの入手が周辺で困難になったことなどから、1981(昭和56)年を最後に「火渡り」は中断していた。
中断期間は20年近く続いたが、新しい宮司が着任したことをきっかけに、2001年に小さな規模で「火渡り」を復活。「最初は近所の人だけだったが、口コミで徐々に参加者が増えていった」と氏子総代の男性は言う。
儀式では、神職によるおはらいなどの儀式に続き、用意したまきに点火。境内の枯れたマツを使ったまきは高さ3メートルほどまで燃え上がった。その後、神職が清めの塩をまき、火のくすぶる炭を広げ、神職、参拝者と続いて火渡りを行った。
神職の吉田さんは「火渡りは、心身の忌み穢(けが)れを払い、無病息災を祈るもの。また、火は人間に多くの恵みとともに、災いももたらすものであることから、火防(ひぶせ)の意味もある」と説明する。「地域で大切にされてきた神事を今後も続けていきたい」とも。
同社の火渡りは毎年12月8日に行われる。