「水野書店150周年記念 谷英美によるティータイム朗読会」が5月20日、「水野書店&Cafe mao-mao(カフェ マオマオ)」(さいたま市岩槻区本町4、TEL 048-756-0112)で開催される。
朗読を行うのは女優でアローンシアターを主宰する谷英美(えみ)さん。1999(平成11)年より、大正時代末期から昭和時代初期にかけて活躍した童謡詩人・金子みすゞを描いた一人芝居「空のかあさま」を続けており、2010(平成22)年には金子みすゞの生まれ故郷・山口県長門市の遍照寺本堂と終焉(しゅうえん)の地である下関で公演を行い、「長門ふるさと大使」にも任命されている。東日本大震災以降に福島市や岩手県大槌町、陸前高田市などでの舞台活動を続けており、沖縄体験者をモデルに書き下ろした「顔-沖縄戦を生き抜いた女の半生-」の朗読の沖縄公演を続けるなど多方面で活躍。今回のイベントでは「金子みすゞについての本当の話」と太宰治著の「散華」について朗読する。
会場となる水野書店は1872(明治5)年に営業を始め、昨年で創業150年を迎えた老舗書店。もともとは岩槻城に紙や筆、墨を卸す仕事をしていた関係から、明治維新後には河合村や慈恩寺村など各村にできた小中学校に教科書を卸すように依頼されたのが書店創業のきっかけだったという。その後も書店業と並行して不動産業や運送業なども営みながら、2019年からは書店スペースの半分をカフェスペースに改装してカフェをオープン。朗読会などのワークショップや絵本の読み聞かせ、スマホ教室などさまざまなイベントを開いている。カフェを運営する水野時枝さんと谷さんは10年以上前に知り合い、いつか店で朗読会を行いたいという話をしていたが、コロナ禍でなかなか実現できず、150周年を迎えたこのタイミングでの開催となった。
水野さんは150年続けられた秘訣(ひけつ)について、「細く長くやっていたから」と話す。小学校の教科書の納入という安定した仕事をずっと続けていることが150年間運営できたことにつながっている。今でも小学校の時にここで教科書を買ったという高齢の人が利用してくれる」と話す。「地域の皆さんによって支えられた書店。少しでも恩返しができれば」とも。
開催時間は14時~15時30分。定員は30人、参加費は1,000円+ドリンク代。