「さいたま市区制施行20周年記念壁面アート完成披露会」が12月8日、さいたま市中央区役所で行われた。アートを制作したのは、さいたま出身で在住の画家、寿の色(じゅのしき)さん。
「歴史と文化の調和の取れた都市の創造と交流が育てる安心なまち」をテーマに、さいたま国際芸術祭の一環として壁面アートプロジェクトが行われた。場所は、中央区役所東側のバスケットボール選手の絵が描かれていた壁。
寿の色さんは10月、同プロジェクトに着手し、この日最後の一筆を中央の大きなバラに施して、色彩豊かな壁面アートを完成させた。
完成披露会には、さいたま市のPRキャラクター「つなが竜ヌゥ」や与野本町駅前保育所の年長の園児たちも参加し、会を盛り上げた。園児たちは「世界がひとつになるまで」を合唱し、完成を祝った。
アートのポイントについて、寿の色さんは「20周年にちなみ20頭のチョウと与野七福神を表す7輪のバラを描いた。区民の皆さんが8人目のバラとして咲いてほしいという願いを込め、つぼみも一輪入れた」と話す。寿の色さんによる壁面アートは今回で3回目。「色を重ねると厚みや深みが出る。たくさんの色を取り込みたい」と考え、自身が描いたバスケットボール選手の絵の上から上書きをしたという。「選手の手形やサインの痕跡が残っているところや、以前壁の前に展示されてた大きなSLも絵の中に加え、『歴史』を絵に込めたところもポイント」と話す。制作中大変だったことについては、「大きな壁に描くので、描いているときは一部しか見えず、何度も下がって確認するのが大変だった。高い場所の場合は区の職員の方に脚立を押さえてもらうなど手厚くサポートしてもらった。大変というよりは楽しかった」と振り返る。
北里大介中央区長は「歴史と未来を象徴する壁画となり感動した。壁画を通して地域のつながりを再発見できた。花壇のバラと併せて、フォトスポットとしても活用し末永く親しんでほしい」と話し、感謝の気持ちを込めて20周年にちなんだ20本の赤いバラの花束を贈呈した。
寿の色さんは、芸術祭ツアー参加者や通りがかりの人などに「好きな色で一筆どうぞ」と声をかけ、多くの方と制作に取り組んだという。さいたま地方法務局に向かう外国人が写真を撮ったり、声をかけてくれたりと交流することで「まるで一人国際芸術祭のようだった」とほほ笑む。「ピアノの発表会の休憩時間に参加してくれた女の子もいた。楽しそうに色を塗り、ドレスの裾にまでペンキが付いてしまったが、そのまま発表会に戻っていった姿が印象に残った」と振り返る。
さいたま国際芸術祭は閉幕したが、中央区役所の壁面アートはいつでも鑑賞できる。