さいたま市西区のれんげ米を育てる田んぼで、春の訪れを告げる田起こしが始まっている。
れんげ米を育てているのは、さいたま市西区西遊馬の農家・浪江勝次さん。より安全でおいしい米作りをと、亡き父親の代から始め、今年で10年目を迎える。れんげ米とは、秋から春先にかけてレンゲを田んぼで育て田んぼの地力を豊かにする農法。れんげの根には根粒菌という肥料の主成分である窒素を固定する菌が付くことから、化学肥料のない時代にはよく使われていた。
昨秋にレンゲの種をまいた後、厳しい冬を経てレンゲは大きく育ち、ところどころで花を付けている。「レンゲも大きくなりすぎると、田んぼが栄養過多になってしまい、稲が肥満状態となってしまう。適度な大きさに育ったところから、トラクターでレンゲを土にすき込みながら、田起こしをしている」と浪江さん。こうして育てたれんげ米は、昨年は米のおいしさを数値化した「食味値」が、100点満点中93点を記録した。
苗床では、今年の苗の生育も始まっている。浪江さんは、今年は、さらなる農法の改良を目指して、一反あたりの苗の量を減らす「粗植法」に挑戦する予定だ。「よりおいしく安全な米を作るために、工夫を続けていきたい」