見沼区にある古民家レストラン「木こり亭」(さいたま市見沼区東新井、TEL 048-797-8638) で「屋根裏ウェディング」が行われた。フリーランスウェディングプランナーの松本智保子さん(Sorairo Wedding)のプランニングによるもの。
さいたま市見沼区の古民家レストラン「木こり亭」の屋根裏をチャペル風に装飾し挙式(写真提供=カメラマン黒岩拓也さん)
新潟県にあった築200年以上で過去に有形文化財に登録されていた古民家を取り壊すという話を聞き、建築業を営むオーナーが保存目的で買い取り移築。レストランに改装し、2014年7月月より営業している同店。上野の精養軒で修業し、約40年、シェフ人生のほとんどをフランスのパリの名店で過ごした鳥飼繁夫シェフが、フランス料理を中心に、地元の野菜やハーブを使った洋食を提供する。
松本さんは、さいたま市出身。15年ほど東京都内のホテルや大手の結婚式場でプランナーを経験した後、フリーとして独立した。最近は「高予算の結婚式はしたくない」というカップルの要望も多く、「地元でアットホームな結婚式の手助けを」と、さいたま市を中心に活動している。
今回、市内に住む島村慶彦さん、由希さんのカップルから「レストランウェディングを地元で挙げたい」と相談を受け、同店を薦めた。松本さんが客として通ううちに、「ここでウェディングができたら」と考えていたといい、オーナーに相談。さらに、物置になっていた屋根裏を見て、「すてきな挙式スペースになる」と思い付いたという。
松本さんのプランニングの下、挙式準備を進めた島村さんたち。「同じさいたまの人にやってもらえてうれしかった」と慶彦さんは振り返る。画家でもある由希さんが描いた絵を飾ったり、絵からイメージしたテーブルフラワーを飾ったりと、細部にわたる丁寧な式作りに「とてもうれしかった」と由希さんも満足そう。
屋根裏をフラワーアレンジメントで飾り、チャペル風に仕立てあげた挙式では、チェロの生演奏もあり、「おごそかな雰囲気だった」と慶彦さん。「屋根裏挙式の厳粛な雰囲気の後、下のレストランスペースでゆったりと和やかな披露宴ができた。気持ちが切り替えられよかった。参加者の人たちもとても喜んでくれたことがうれしい」とも。
シェフの鳥飼さんは「今まで物置としてしか使い道のなかった屋根裏が、装飾や楽器演奏等により挙式を行える空間になって驚いた。ウェディング料理は久しぶりだったが、昔を思い出しながらとても楽しく調理できた」と、初めての店内挙式に手応えを感じている。
松本さんは「地元レストランでの開催はもちろん、さいたま市のクラフトビールや市内の畑で摘んだハーブを使うなど、地元の仲間と連携して結婚式を実現できたことがうれしい。これからも地産地消の結婚式を増やしたい。式場でなくても温かい式ができることをカップルに知ってもらえたら」と笑顔で話す。
今後、屋根裏スペースを使い、挙式以外にも展覧会や音楽会、寄席やフリーマーケットなども考えているという。