「夏休み!子どもがつくる!子どものまち キッズ西区2018」が8月21日、さいたま市西区の馬宮コミュニティセンター(西区大字西遊馬)で開催された。主催はNPO法人子ども劇場おやこ劇場埼玉センター、共催はさいたま市。
西区在住の小学4年生から6年生の「子どもスタッフ」29人が、6月から計7回のまち会議を通して準備を進めてきた同イベント。数人の「おとなスタッフ」がサポートするが、主体は子ども自身。自分がまちで実現したい店のほかに、銀行やハローワークなどまちを支える仕事も子どもたちで分担して請け負った。
当日は西区内を巡回バスが回り、小学1年生から6年生まで、197人の子どもたちが会場を訪れた。子どものまちの中はスタッフを除き大人は立ち入り禁止で、保護者も中には入れない。当日訪れた子どもたちは受付で区民カードと「キッズ西区」内で使える独自通貨「キッズ」を300キッズ分受け取り、まちへ入る。まちの中には、おにぎりやサンドイッチを提供する「おにパン屋」、部屋を暗幕で暗くしたお化け屋敷の「呪いのおもちゃ屋」やジェットコースターなど、子どもたちが工夫を凝らした店が並ぶ。お金が足りなくなったら店でアルバイトをしてお金を稼ぐ仕組み。最初は戸惑い気味だった子どもたちも、まちの仕組みが分かるにつれて自分なりの楽しみ方を見つけ、会場には元気な声が響いた。
妹と2人で参加した5年生の男の子は「スーパーボールすくいとスクイズ作りが楽しかった。お化け屋敷でアルバイトをしてお金をたくさん稼いだので、残りの時間で妹と一緒に使う」と楽しそうな様子で話した。友達と一緒に参加していた4年生の男の子は「アイスクリーム屋さんのアルバイトをして、お客さんをたくさん呼び込めたのがうれしかった。お店は赤字になってしまい、店長が困っていたのが面白かった。来年も絶対参加する」と声を弾ませた。
子どものまちでは予想外の出来事も起きる。アルバイトをしたい子どもたちとアルバイトを雇う余裕のない店との間で板挟みになったハローワークには、子どもたちが殺到した。ハローワークを担当した子どもスタッフの男の子は、「お店との関係がうまくいかず、行列ができてしまったのは予想外だった。急きょ銀行と相談して、銀行がお金を貸し出すという対応をした」と話す。その忙しさの中でも、「色んな人の名前を覚えることができたし、みんなで協力してできて楽しかった」と笑顔を見せた。
おにぎり3種、サンドイッチ2種、スムージー3種と多彩なメニューを提供した「おにパン屋」の店長、古賀天馬君は「当日やってみると、店舗の大きさが足りなかったり、売れない時間があったりと大変だった。売れたときは楽しくて、たくさんお客さんが来た時には名前を書いて待ってもらう工夫をした」と振り返った。
運営局の今川夏如さんは子どもたちの様子について、「タイプの全然違う子どもたちがお互いを認めつつ、それぞれできることを頑張っているところが良いと思う。それぞれ違うことをやっているのに、一つのまちをつくっていることがこのまちのいいところ」と振り返る。「このまちを通じて、『やりたいことをやっていい』という実感を得て、新しいことを気軽にチャレンジする気持ちを育んでいってほしい」と期待を膨らませる。