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東大宮のカフェ&福祉施設「ちひろ珈琲」7周年  豆の選別作業で就労支援

自家焙煎のコーヒー豆を手にする高橋さん

自家焙煎のコーヒー豆を手にする高橋さん

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 「ちひろ珈琲(コーヒー)」(さいたま市見沼区東大宮5、TEL 048-675-7750)が11月3日、オープンから7周年を迎えた。

コーヒーの生豆を丁寧にハンドピックで選別する(関連画像)

 自家焙煎(ばいせん)したコーヒー豆の販売と飲食を提供するカフェで、福祉施設でもある同店。2011年11月1日に就労継続支援B型事業所として認定を受け、3日からカフェ営業を始めた。障がいを理由に一般企業で働くことが難しい利用者が、コーヒーの生豆から虫食いやカビの生えた豆をハンドピック(手作業で欠点豆を取り除く作業)する。焙煎後もさらに豆を選別することで、雑味が無く品質の高いコーヒーを手頃な価格で提供している。

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 店を立ち上げたのは管理者の高橋千尋さん。以前はコンピューター関係の仕事をしながら、障がい者向け小規模作業所を運営する両親を手伝っていた。小規模作業所では季節によって請け負う仕事量に増減があり、納期が厳しい仕事もこなさなければならないことを課題に感じていた高橋さんは、自身が大好きなコーヒーで障がい者の仕事を作れないかと考え、未経験からコーヒー豆の焙煎を勉強。2011年に障害者自立支援法の施行に伴い、小規模作業所が就労継続支援B型事業所へ移行したことも契機となった。

 「コーヒーの仕事で就労支援を、というアイデアに、周りはみんな大反対。当時はカフェと福祉施設とが結び付くとは思われていなかった」と高橋さん。しかし、初めは5~6人ほどだった利用者は増え続け、現在は60人弱が登録。2016年には駅前にも事業所を開設し、2カ所合わせて1日に30人以上が作業に従事する。以前は障がい者の仕事として画期的だったコーヒー豆のハンドピックだが、現在では県内外から福祉関係者が見学に訪れることも多く、同店を参考に施設を新規開設した人もいる。「始めてからは無我夢中で、時間があっという間だった」と7年間を振り返る。

 人気メニューはランチセットで、一番人気はドリンクとサラダ、ケーキが付いたキーマカレーセット(800円~、価格はドリンクの種類によって異なる)。店内で何時間も煮込んだ野菜たっぷりのカレーは、辛すぎないのが特徴。セットに付くシフォンケーキも、粉や卵にこだわり、無水鍋で焼き上げたしっとりとした食感が評判を呼んでいる。コーヒーは単品でも提供(300円~)。ハンドピックの高品質なコーヒーを低価格で味わえることが口コミで広がり、近隣大学の学生や職員、地域のお年寄りなど、店内でゆっくりとコーヒーを楽しむ人が多い。高橋さんは「街のコミュニティーのような場所を作りたかった。『このコーヒーおいしいね』という一言からお客さん同士の会話が始まることもある」とほほ笑む。

 店内で焙煎したコーヒー豆は販売もしており、一番人気は「ちひろブレンド」(100グラム580円)。数種類の豆を混ぜることでコクと程良い香りが出て飲みやすくなるという。ほかにも季節ごとに数種類を扱う。電話注文で配送も行っている。

 高橋さんは「事業所で働く人が『こんなにおいしいコーヒーを作っているんだよ』と胸を張れるよう、品質にはこだわっている。『焙煎したて』『ひきたて』『入れたて』という3つの条件がそろったコーヒーを手頃な価格で味わっていただいて、おいしさがみんなに届けばうれしい」と話し、来店を呼び掛ける。

営業時間は12時~17時。日曜・祝日定休。