さいたま市で「路地裏Garageマーケット」(さいたま市中央区鈴谷7)を運営する旅商人拓さんが、「災害ボランティアNPO旅商人」として10月上旬に発生した台風19号による被災者支援活動を行っている。
拓さんは、2011(平成23)年の東日本大震災から、個人的に災害ボランティアを始め、同年の新潟福島豪雨災害(会津金山町)、紀伊半島大水害(那智勝浦)、2012(平成24)年茨城県つくば市竜巻(北条地区)など大きな災害の度に駆け付けてきた。
2015(平成27)年の関東・東北豪雨(常総市)からは、拓さんの活動に賛同し、旅商人亮章さんが合流、「災害臨時NPOチーム旅商人」として活動を始めた。2016(平成28)年北海道・岩手豪雨災害(宮古市、岩泉町)、2017(平成29)年九州北部豪雨災害(東峰村・朝倉市)、2018(平成30)年7月豪雨(岡山県倉敷市、広島県など)と2人で、あるいは単独で支援に向かった。
今回は拠点もあるさいたま市中央区付近でも浸水被害が多く発生したことから、台風通過直後から活動を開始。同区区役所に開設された「災害ボランティアセンター」と連携・協力しつつ、活動を続けている。開始当初は、路地裏Garageマーケットに事務局を置いていたが、「より地域の人の目につき、来てもらいやすいように」と中央区新中里のファミリーマート(中央区新中里3)に協力を仰ぎ、同店駐車場にボランティアの事務局を設置している。
台風の最中から地域を見て回っていた拓さんは「鈴谷だけでもかなりの件数が浸水した。水が引いて一見大丈夫に見えても、見えない部分の床下に水が残っていてカビが生え、ダメになってしまうこともある」と心配する。
支援活動内容は「排水ポンプを使い床下にたまった水を出す」「ポンプで取り切れない水を手をスポンジや雑巾などを使って拭き取る」「床清掃」「家内消毒」「畳上げ」「家内片付け」などのほか、「復旧に向けたアドバイス全般」も行う。拓さんは「今までの経験からアドバイスさせていただいたり、必要な場合には専門家に確認したりしながら適切にアドバイスできるようにしている」と話す。
ボランティアは延べ150人ほどが参加。未経験者も多く「初めて床下に潜ってヘトヘトになっている人もいたが、今後もし自分の家が浸水してもどうすればいいかが分かるので、貴重な経験だと思う」と拓さんは話す。
10月28日までに76件の支援(アドバイスのみの場合も含む)を行い、残りは数件だという。「依頼してきた時は途方に暮れていた被災者の方が、作業が進むにつれみるみる元気になりホッとした顔になると僕らもうれしい」。実家が同区で材木会社を経営する拓さんは「木造の家だからといえ、浸水でも適切な処理をすれば大丈夫。諦めず長く住んでもらいたい」と活動を続ける。
「いったん10月いっぱいでさいたまでの活動は終わりにする予定だが、誰も取り残しがないようにしたいので、依頼は引き続き受け付けている。小さなことでも大丈夫なので気軽に頼んでほしい」と言う。
11月からは、今回同様に被害を受けた長野県長野市に向かう予定で、亮章さんはすでに現地入りし、活動を開始している。「さいたまから一緒に行ってくれる人も募集している。被災地でのボランティアは自分で考えて動ける、自分のことは自分でできることが必要。もし行ける人がいたら連絡してほしい」と呼び掛ける。「未経験の若い人にもぜひ行ってほしい。被災地に行くことは、なによりも防災への知識と意識を高める経験になり、自分の地域に持ち帰り今後に生かすことができる」とも。
同NPOでは、活動支援金も受け付けている。資金は珈琲炊き出し材料や燃料費、資機材費などの諸経費・支援団体としての運営費などに使われる。
ボランティアの募集状況、支援物資・支援金の受付、活動報告などは、拓さんのフェイスブックページで案内しているほか、ボランティアの依頼・問い合わせは電話(TEL 070-4543-1151)でも受け付ける。