インド古典舞踊バラタナティヤムの日本人最年少プロダンサー富安カナメさんが11月17日、路地裏Garage Market(さいたま市鈴谷7)で公演を行った。
シルクスクリーン印刷した繊細な絵が特徴のタラブックス=さいたまでインド古典舞踊日本人最年少ダンサーが公演
父親の仕事の都合で4歳から6年間インドの首都デリーに滞在している時、治安と気候上、自由に外出ができなかったことから、運動不足解消にとバラタナティヤムを始めたというカナメさん。
バラタナティヤムはインドの4大古典舞踊の一つといわれ、はだしを床に打ち付けるような激しいステップが特徴。中腰の姿勢で全身と指先まで使って踊り、顔の表情も使うさまは「踊るヨガ」とも言われるという。4歳からバラタナティヤムを習い始めたカナメさんは、8歳から北インド最大のバラタナティヤムの学校「ガネーサ・ナティアラヤ」に入門し、世界的に活躍しているグル・サロジャ・ヴァイディヤナタンに師事。11歳の時に、一人前のダンサーとして認められるためのデビュー公演「アランゲトラム」をインドで行い、日本でプロダンサーとしてデビューし活動している。
日本に帰国してからは、オンラインビデオ会議ツールのZOOMを使い週1回インドにいる師匠とのレッスンを続けているという。母親の敦子さんは「今はどこにいてもレッスンが受けられるのでありがたい」と話す。足のステップが激しいため、現在の住まいである集合住宅ではレッスンができず、近所の公民館などを借りて練習している」とも。
日本各地で行われるインドやアジアのイベントで踊りを披露する機会も増え、「月に2回ほどは公演している」と敦子さん。「来年中学に入るカナメさんの今後についても検討しており、学業との両立もなかなか難しいかもしれないが、できるだけよい形で続けさせてあげたいので全力でサポートしている」と力を込める。
将来の夢は「バラタナティヤムのダンサー」と話すカナメさんは「カラフルで奇麗な衣装、目力を強調する華やかなメーク、動くと軽やかな音がするアクセサリーを身に着けて踊ることが楽しい」と目を輝かせる。
当日は南インドの「タラブックス(Tara Books)」販売も行われた。シルクスクリーン印刷で手作りしたという同絵本は、「2冊買って、1冊はばらして絵として飾る」というコレクターもいる美しい絵が特徴。敦子さんが同じくインド滞在の経験がある北澤麻子さん、吉田奈実栄さんとともに日本に同本を紹介する活動を始め、今回初めて出店したという。
「カナメさんの活動を応援している」と話す吉田さんは「インド雑貨というとかわいいがチープというイメージを持っている人も多いかもしれないが、技術も高く繊細な物もあるということを伝えていきたい。バラタナティヤムと合わせてインドのアートを知っていただけたら」と話す。敦子さんは「一つひとつが手作りで出版数が限られていることもあり、世界中に熱狂的なコレクターが存在する絵本。手に取って見られる機会は少ないので、今後もイベントなどで紹介していきたい」と話す。