さいたま市中央区役所(中央区下落合5)の外壁に、さいたま市出身在住の若手画家、寿の色(じゅのしき)さんこと鈴木香奈子さんが制作した新しい壁画が2月16日、完成した。
かつてはSLが展示されていたさいたま市中央区役所前のスペース。今回の壁画制作には区民や区職員ら多くの人たちが参加した
同区役所前には2016(平成28)年9月までSLが展示されていたが、老朽化に伴い撤去された。区の若手職員で構成するプロジェクトチームが空いたスペースを活用し、中央区の魅力を発信しようとするなか、寿の色さんに壁画制作を依頼。寿の色さんは2018(平成30)年に1度目の制作に臨み、今回2度目の壁画制作に取り組んだ。新作はさいたま市での東京五輪バスケットボール競技の開催と市合併20周年の2つをテーマにしたモチーフを選んでいる。
寿の色さんはさいたま生まれのさいたま育ち。中央区の路地裏ガレージマーケットでの個展や、イベントでのライブペインティングを行うなど市内を中心にアート活動をしている。
壁画は、区役所の外壁に直接ペンキで描き、大きさは横8メートル×縦3メートルほど。バスケットボールをプレーする選手たちをモチーフとし、同区のさいたまスーパーアリーナで開催予定の東京五輪のバスケットボール競技にエールを送る。選手全員のユニホームに「Saitama」(さいたま)の文字、それぞれに「URAWA」(浦和)、「OMIYA」(大宮)、「YONO」(与野)などの旧市名を入れ、さいたま市合併20周年の盛り上がりを期して、街の一体感を表現している。シュートの軌道の部分には「Saitama City 20th」(さいたま市20周年)と文字をつづり、中央区の花であるバラの花びらのイメージをあしらっている。
壁画制作には、区職員や制作現場前を通りがかった区民らも参加している。寿の色さんは「みなさんと一緒に作品を作り上げることができた。自分が制作する姿を見た方々が『私も絵を描きたくなった』と言ってくださると達成感がある。この制作が多くの人にアートに興味を持ってもらえるきっかけになればうれしい」とほほ笑む。
区職員の床井美穂さんは新たな壁画を前に、「明るいさいたま市を体現するようなカラフルな色合いに仕上がった。区民の方には長い間親しんでもらってきたこの場所を、さらに好きになってもらいたい」と話す。西村徹区長は「新型コロナの影響で気持ちが沈みがちだが、壁画を見て少しでも明るい気持ちを取り戻してもらえれば」と期待を込める。
寿の色さんらは「できれば壁画の写真を撮ってもらい、SNSを通してより多くの方に楽しんでもらいたい。ハッシュタグ「#YonoArts」「#中央区役所バスケ課」を付けて発信してもらえたら」と呼び掛ける。