「手織工房じょうた 大宮工房」が押田謙文堂(さいたま市大宮区宮町1)3階にオープンして、10月18日で半年を迎えた。
「さをり織り」は1969(昭和44)年に、城みさをさんが考案した手織りの技法で、図案やルールにとらわれず自由に織るのが特徴。同工房は、孫の城達也さんが2007(平成19)年に創業し、吉祥寺を本店に、自由が丘、横浜に続き、4店舗目として今年4月18日、大宮工房を開設した。大宮駅東口から徒歩3分の押田謙文堂ビルの3階にあり、同所はかつて城さんの叔父がさをり織りの工房を営んでいた、ゆかりの地でもある。
城さんは「一人一人の『好き』や『心地よさ』を大切にしたい」との思いから、自由な表現を重んじるさをり織りの魅力を伝え続けている。「ルールにとらわれず、感性のままに織ることで、その人らしさが自然に表れることが、さをり織りの本質」と話す。
体験は予約制で、所要時間は約5時間。料金は5,800円~。黒の綿の経糸(たていと)をあらかじめ張った織機を使い、緯糸(よこいと)は綿やウールなどから選べる。さらに有料オプションで、リネン、シルク、ラムウール、カシミヤなどの素材に変更することもできる。約2000本の糸から自由に色と素材を組み合わせ、幅30センチ、最長2メートルまでのストールを織り上げる。月会費1万1,500円(税別)で織り放題のコースを設けており、個人用の保管箱を用意しているため、手ぶらで通える。
スタッフの加瀬敏子さんは「城みさをさんの思いに共感して、さをり織りにのめり込んだ。埼玉県内初の工房と聞き、オープンから参加している。半年がたち、北関東を中心に県外からも多くの方が訪れていて驚いている。福島から3時間かけて来てくれた方もいた。5歳の男児が体験することもあり、誰もが簡単に自由に織って表現できるのがさをり織りの魅力。会員も増え、織機の増設も予定している」と話す。
千葉県から訪れた女性は「一度体験して楽しかったので、今回は娘を誘って2度目の参加」と話す。「スタッフの方が丁寧に教えてくれるので、また来たい」とも。娘も「もともとものづくりが好きで興味があった。糸を選ぶのに思ったより時間がかかったが、その時間もとても楽しかった」と振り返る。
11月21日から表参道で、4店舗合同による初の展示会を開催し、全会員とスタッフ、代表の城さんの作品を展示する。