さいたま市岩槻区にある真福寺貝塚(=しんぷくじ、岩槻区城南3)で11月11日、今年度の発掘調査の成果を説明する発掘調査現地見学会が開かれた。主催はさいたま市教育委員会生涯学習部文化財保護課。
出土したシカの歯や骨、無数の貝など、発掘調査の成果について説明
国の史跡に指定されている同遺跡で2016年から行われている今回の発掘調査は、遺跡の保存・整備を進める「保存活用計画」の一環となっている。整備されれば、市民が遺跡を見学できるようになるという。
見学会では遺跡全体を把握するために、地形のくぼみ部分から高まり部分を縦断するような形で掘った、幅1メートル、長さ約60メートルの調査区を公開。午前・午後で100人を超える参加者があった。同課の吉岡卓真さんが、各調査地点に沿って出土品や時代について丁寧に説明すると、参加者は熱心に耳を傾け、調査区をのぞき込んだ。
地形のくぼみ部分の調査区からは、縄文晩期の土器が多数出土した黒色土層がくっきりと分かり、土器の破片も露出した状態のまま見ることができた。縄文晩期の墓と推定される土坑も見つかり、さらなる発掘調査が必要とも。これまで縄文時代の集落として知られてきた同遺跡だが、今回新たに平安時代の住居跡や須恵器(すえき)も発見された。
地形が高まっている部分の調査地点には、約3, 100~3,500年前の貝塚があり、大量のヤマトシジミや、海で獲れる貝も見つかった。その下層からはシカやイノシシの骨や歯、別の地点からは焼けた土や獣骨片が出土。各調査地点で内容物や時代が違う土の堆積が、幾重にも重なっていることが判明した。
同区で観光ガイドをしているという参加者は「考古学や歴史は昔から興味があった。昨年よりも溝が深く掘られていたので見応えがあった。来年の成果も期待したい」と笑顔。「縄文時代が一番好き」という吉岡さんは「ここはさいたま市内でも最大級の貝塚を伴う遺跡の一つ。縄文時代の地形が比較的良好に残されており、当時の集落景観をイメージしやすい遺跡」と同遺跡の魅力を語った。
同遺跡の発掘調査は2018年度も引き続き行われる。