埼玉大学(さいたま市桜区下大久保)で3月27日、「留年した学生による留年した学生のため」の非公式イベント「埼玉大学 留年式」が開催された。
留年したという事実を前向きに捉える目的で行われた同イベント。留年した学生が中心となって企画し、今回が6年ぶり2回目の開催となる。運営の教育学部4年木曽大原さんは「この式を経て、新たな一歩を踏み出してほしい」と希望を込める。
会場の一部には、本物の卒業式を思わせる本格的なコンテンツが並ぶ。留年論文や留年に関するデータ、アート作品、留年生に向けた激励のメッセージなど。一つ一つのコンテンツを熟読する人も。最終的には見学者を含めて約100人が参加した。
プログラムは以下の通り。「一.ファンファーレ」「一.開会の辞」「一.留年記授与」「一.留年生代表挨拶」「一.卒業生メッセージ」「一.特別公演」「一.単位慰霊式(黙祷)」「一.ステージ企画」「一.奏楽」「一.閉会の辞」
オープニングで、高々にファンファーレが鳴り響いた後、開会。留年記授与の場面では、教育学部4年の嶋村友洋さんが代表として受け取った。「出席が足りずに卒業できなかった。今日を新しいスタートと捉えて、頑張りたい」と嶋村さん。
卒業生メッセージの場面では、6年前の留年会運営メンバーからの言葉が届いており、参加者の前で読み上げられた。「人生行き詰まっても、何とかなるもの」と留年生たちを勇気付ける言葉も。
最後は、埼玉大学歌を全員で歌い、閉会の辞によって同式が締めくくられた。木曽さんは「卒業式に卒業生として参加できないジレンマを、留年式で晴らしてもらえたらうれしい」と話す。
同イベントを見学していた他大学4年の佐藤由佳さんは「ユーモアあふれる前向きさに胸が打たれた。来年度からもぜひ頑張ってほしい」とエールを送った。同じく見学していた教養学部2年の高村さん、3年のあかりさんは「事実を笑い飛ばしていて、元気がもらえた」と話す。
木曽さんは「あくまで非公式のイベントなので大学への問い合わせなどはしないでいただけたら。来年度は卒業式に必ず出席する」と意気込みを話す。