埼玉県立歴史と民俗の博物館で現在、県内各地田んぼの形や歴史などを伝える企画展「田んぼ~埼玉、人と水の風景」が開催されている。
「埼玉県は、起伏に富んだ地形と豊かな水資源があり、それぞれの環境条件に合った多様な田んぼの形や農耕技術、農具がある。また、田んぼを舞台に様々な祈りや祭りが行われてきた」と担当者。農業をメインテーマに据えた、初めての展覧会として企画された。
同展の中心となるのは、同館が所蔵する国指定重要有形民俗文化財「北武蔵の農具」。同コレクションは、埼玉県の農具や信仰・儀礼道具、農作業着など、1969年から収集を開始した1640点に及ぶもの。その中から、田んぼで使われた道具を中心に、展示されている。
展示は、第一章・田んぼ昔々、第二章・稲作の一年、第三章・埼玉の田んぼあちらこちら、第四章田んぼと暮らす、の四章で構成されており、県内での稲作の歴史と変遷や、稲作の基本、地域や環境による稲作の違いや、豊作を祈り収穫に感謝してきた人々の営みが紹介されている。
1970年代にコレクションに加えられた、川口市安行原の「大蛇」は本邦初公開。水を司る神として信仰されてきた蛇を形作られた、全長3メートル以上の巨大な藁製の蛇に、多くの来館者が足を止めていた。
開館時間は9時~16時30分。月曜休館(祝日を除く)。入場は、一般=400円、高校生・学生=200円。会期は5月6日まで。最終日の13時半からは学芸員による展示解説も行われる。