ヨーロッパ以外の地域では初めての開催となる世界最高峰の自転車ロードレース「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」が10月26日、さいたま新都心周辺を舞台に開催され、20万人(主催者発表)が本場のレースを楽しんだ。
20万人の観客が集まった「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」
ツール・ド・フランスは、フランス国内で行われる世界最高峰の自転車ロードレース。「オリンピック、サッカーのワールドカップと並ぶ3大大会」と称されるほどヨーロッパでは高い人気を誇る有名レース。今年100回大会を迎えたのを機に、運営会社がアジア地域での展開を検討していたところ、さいたま市が誘致に名乗りを上げ大会開催が実現した。
数日前から台風27号が接近し開催が危ぶまれたが、台風の進路が南にそれたため、大会本部は前日朝に開催を決定。今年のツール・ド・フランスで個人総合優勝を果たしたクリストファー・フルーム選手(英国)をはじめ、ロード世界選手権優勝のルイ・コスタ選手(ポルトガル)など、世界のトップに名を連ねる豪華選手が勢ぞろい。レースは、前日からの雨が続く中、13時にスタートした。
先に行われたポイントレースは、周回ごとの順位からポイントを付与され、その合計ポイントを競うレース。ポイントレース1では、最終周まで誰にも優勝チャンスが残るデットヒートの結果、畑中勇介選手(シマノレーシング)が優勝。続くポイントレース2でも日本人選手が健闘し、接戦の末、中島康晴選手(愛三工業レーシング)が勝利した。
15時からのメーンレースは、1周2.7キロメートルのコースを20周するレース。国内外の55選手が出場した。レースは序盤から先頭グループとメーン集団に分かれる展開。先頭グループを別府史之選手(オリカ・グリーンエッジ)が引っ張り会場を沸かせた。今大会での引退を表明している福島晋一選手(NIPPO・デローザ)が途中メーン集団から抜け出してトップ集団に追いつくなど、執念を見せた。レースは、終盤にツール・ド・フランスの本レースでも活躍したヨーロッパの3選手が抜け出し、最後はツール覇者のフルーム選手が貫禄の独走優勝を果たした。
表彰式終了後、清水勇人さいたま市長は「沿道の多くの観客の熱い声援の中、マイヨジョーヌのクリストファー・フルーム選手がゴールした時には、自転車文化の新しい歴史の扉が開かれたと感じた。さいたま市も自転車のまちづくりをさらに進め、安全で、快適に自転車が乗れる環境づくりを市民の皆さんとともにつくり上げていきたい」とコメントした。
世界最高峰のレースが残した熱気は、さいたま市に新しい歴史を刻んだ。