川口市の障がい者施設「晴れ晴れ」で製造されているクッキー「茶葉丸」が6月21日、鐘塚公園(さいたま市大宮区)で開かれた「Premium Quality Cup 2014 in SAITAMA 第5回焼き菓子コンテスト」で優勝を果たした。
コンテストは、障がい者施設で製造されている焼き菓子づくりを応援しようとパレスホテル大宮(さいたま市大宮区桜木町1)が2009年から毎年、企画しているもの。今年は県内の福祉施設19施設がエントリー、決勝には5団体が進んだ。埼玉県洋菓子協会副会長など10人の特別審査員と、来場の一般審査員100人が試食し審査した。
優勝した「茶葉丸」は、埼玉県産の米粉と、狭山茶の茶葉を丸ごと使った丸いクッキーだ。米袋をイメージしたクラフトのパッケージも個性的。施設長の石崎美智さんは「米とお茶の配合バランスに苦労し、さまざまな砂糖との相性を試してこのレシピにたどりついた」と話す。
生地のまるめ作業は、中央にくぼみをつける工夫で、手先が不器用な人でも作業に参加しやすくなった。利用者の家族からも「クッキーづくり取り組むようになってから、本人が手洗いなどしっかりできるようになり、衛生面の生活習慣が変わった」といううれしいエピソードも披露された。
準優勝には、深谷市立たんぽぽ作業所(深谷市)の「たんぽぽコーヒーガレット」、3位は、ぷちとまと (上尾市)の「とまとのブールドネージュ」、4位は、おごせ作業所(越生町)の「大観山」、5位は、第2春日園の「コーヒーパウンドケーキ」がそれぞれ入賞した。
優勝と準優勝の「茶葉丸」と「たんぽぽコーヒーガレット」には、それぞれ「パレスホテル大宮推奨焼き菓子」の称号が授与された。優勝の「茶葉丸」は7月から半年間、同ホテルが受託販売するほか、同ホテルのパティシエが味の指導に12回施設を訪問することが約束された。
障がい者の就労支援のために福祉施設で製造しいる焼き菓子は近年、味やデザインの良い商品が増えてきている。担当者は「見た目や材料にもこだわり、ユニークなネーミングなど創意工夫しているものが増え、年々レベルアップしている」と笑顔を見せる。
一方で、その売り先は市役所内や福祉関係者にとどまり、販路開拓に苦戦している施設はまだまだ多い。審査会事務局を担当した同ホテルパティシエの伊東昌弘さんは「買ってもらうためには、味やデザインだけでなく、ネーミングやコストパフォーマンスなど、トータルの商品力が必要。コンテストを通じてワンランク上をめざしてほしい」と期待を寄せる。