大宮鉄道博物館(さいたま市大宮区大成町3)で12月14日、博物館の中心にある転車台上の車両を電気機関車EF55形式から、蒸気機関車C57形式に入れ替える作業が公開で行われ、300人以上が作業を見守った。
同館の転車台はヒストリーゾーンの中央部に位置し、博物館にとってはシンボリックな「お立ち台」。今年4月に新たに博物館に搬入され、流線型のボディーと「ムーミン」の愛称で人気の電気機関車「EF55」が展示されてきたが、今回の作業は、それまで中央に展示されていた「C57」を再び転車台に戻すもの。この日はC57が40年前の1975(昭和50)年に最後の営業運転を行った記念日でもあり、開館前には作業を見届けようと300人以上が列を作った。
前日から駆動部への注油などの準備を行った車両移動は開館時間後に始まった。作業はまず、転車台にあるEF55を2台の運搬車両で前後から引っ張りながら押す方法で移動を開始。総重量が約100トンもある同車両の移動では途中、確認のために一時停止した位置から動かなくなるハプニングも。さまざまな道具を使い移動を試みた結果、ゆっくりと車両が動き始めると、作業を見守っていた来場者からは拍手が沸いた。
続いて行われた蒸気機関車C57の移動では、移動に伴いシリンダーから空気が出入りする「シュッ、シュッ」という音が館内に響き渡った。作業の様子は副館長の荒木さんが館内放送で解説するなど、日頃は見られない作業に来館者の多くがシャッターを切った。
移動作業は予定時間の11時過ぎに無事に終了。午後からは通常通りの一般公開が行われている。作業責任者の学芸部長・猿山さんは「入れ替え作業は無事終了した。これからしばらくの間は『C57』が転車台でみなさんをお迎えする」と、ホッとした表情を見せた。