大宮東口の老舗パン店「キムラヤ」(さいたま市大宮区大門町1、TEL 048-641-5751)が3月末で閉店する。
1925(大正14)年に創業し今年で91年目になる。店頭には桜の塩漬けが入った桜あんぱん、昔ながらの形のクリームパン、ジャムパン、カレーパン、焼きそばパンなどの調理パンが並ぶ。
「営業時間は朝8時からだが、7時ごろからシャッターを一部上げて、できたものから販売しているので知っている人は買いに来る」と同店販売スタッフの石坂千永子さん。「閉店の案内を出してから、常連さんなどがいつも以上に頻繁に来てくれるようになり忙しくなった。もうすぐ閉店するとは自分たちでも信じられない」とも。
石坂さんは20年以上、店頭に立ってきた。「お客さんとの会話を楽しみにしていた。お客さんに会えなくなってしまうのが何より寂しい」と言う。常連客も「寂しい。ずっとあると思っていた。これからどこで買えばいいのか」と閉店を惜しむ。「ビルは残るので、何年か先になっても『昔ここにパン店があったよね』と思い出してもらえたら」と石坂さん。
喫茶店を地下に併設していた時期もあった。店の中に「滝」があり、滝を見ながらコーヒーが飲める店として話題を集めた。80人ほどは入れる店内は当時の大宮の喫茶店の中では広い方だったので、待ち合わせや、デート、お見合いにも使われていたという。
3店舗と喫茶部があり従業員が150人の時代もあったというが、1店ずつ閉め、今は東口の本店のみとなった。
「地元のパン屋としては売れている方だとは思うが、それでも小さなパン店が経営を続けていくのは難しくなってしまった」と蓜島安弘社長は説明する。「お客さまには申し訳ない。長い間お世話になった」。
営業時間は8時~19時。日曜定休。今月28日から閉店まで、全品半額の感謝セールを予定。