さいたま市北部の谷戸などで今年も、春の訪れを告げるニホンアカガエルの産卵が始まっている。
ニホンアカガエルは、平地から丘陵地にかけての樹林や田んぼに生息するカエル。樹林から水辺にかけての環境が連続して残る環境にしか生息できないため、特に都市近郊では姿を消しているといわれる。さいたま市では、2008年にさいたま市環境会議が中心になって行われた「さいたまカエル大調査2008」で、さいたま市北部と、見沼田んぼ、岩槻区のごく一部のみでの生息が確認されている。
埼玉県生態系保護協会大宮支部長の小松豊蔵さんは「今年のアカガエルの産卵は、例年より2週間ほど遅れている。やはり、この冬の厳しい寒さが原因ではないか」と話す。「ニホンアカガエルは、里山の環境を象徴するカエル。この先もずっと、アカガエルが生息できる環境を残していくことは、私たちの責任ではないか」とも。
2月に産卵した卵の周辺では、早くもオタマジャクシが見られる。さいたま市の里山にも、春が一歩ずつ訪れている。