埼玉県立歴史と民俗の博物館で現在、大宮駅と全国の駅弁の歴史や変遷を見ることができる企画展「旅の楽しみ~駅弁~」が開催されている。
「旅の楽しみといえば駅弁」をテーマに、同館所蔵品やコレクターが収集していた駅弁の掛紙や容器などを展示している。
「大宮の駅弁」では、かつて販売されていた「盆栽すし」の掛紙と陶製の器が展示されている。この器は、食事後に「盆栽の鉢にできる」とうたわれていたが、底に穴を開ける必要があり、このために現存数が少ない貴重な品だ。また、かつて大宮駅で販売されていた「濱長」「氷川屋」「門奈」の3店が明治~大正期に販売していた弁当の掛紙が多数展示されている。包み紙には、周辺の路線図や「名所 大宮公園」「武蔵一之宮 氷川神社」といった文字と共に、氷川神社や氷川参道などが描かれており、当時の大宮への旅が以下に特別なものであったかをうかがい知ることができる。
一方で、戦時中の弁当の掛紙には、「行楽旅行で大切な輸送をさまたげるな」「重要物資輸送の完璧!」などの標語がプリントされ、「ぜいたくは敵」とされていた時代における駅弁の微妙な立場が浮き彫りになっている。
会場では、昭和初期ごろの大宮駅周辺の案内パンフレットの展示や、昭和30年代の大宮駅の様子を写した貴重な映像資料の放映もあり、当時の時代背景を知ることができる。
開館時間は9時~16時30分(7月2日~7月15日は17時まで)。月曜休館(祝日を除く)。入場は、一般=300円、高校生・学生=150円。会期は7月15日まで。