「手打そば 尾沼」(さいたま市中央区上落合5 TEL 048-816-6836)が10月28日、オープン10周年を迎えた。
そばのおいしさを引き出せるように毎日そばを打つ店主の尾沼さん
店主の尾沼広幸さんが毎日打つ極細の手打ちそばと、そばに合う酒や1品料理を提供する同店。18席の店内は明るい洋風の造りで、奥さんと2人で店を切り盛りしている。
広幸さんは「会社員を辞めて、飲食店で働きながらの調理師学校在学中には、スペインのバルのような形態の店を開きたいと考えていた」と話す。勉強のため、いろいろな店で食べ歩きをしていた中、東京・杉並区のそば店で「そば店は日本のバルと言えるのではないか、日本の食文化についてもっと知りたい」と感じ、その店で7年間の修業を積んだという。
手打ちそばには、風味と甘みがある極粗のそば粉を使い、打ちながら水分量を調整し、食べる時の「コシ」につながる粘りを引き出している。汁は、備長炭で焼いて2年熟成した本枯れ節や宗田節など、数種類のかつお節を使って、味の決め手となる1番だしをじっくり取り、1週間から10日ほどかめに寝かせておいたかえし醤油と合わせて、ほんのり甘みのある味に仕上る。
新そばを提供する今の季節は、多くの常連客が訪れる。店の近くで毎年開催されているツール・ド・フランスさいたまクリテリウムにちなんで、柔らかいフランス産カモのマグレ・ド・カナールを使った「ツルッとフランス 鴨せいろ(1,680円)」を11月末までの期間限定で提供している。「知り合いのビストロシェフに選んでもらったブルゴーニュ産のワインによく合う」と尾沼さん。定番の「せいろそば(760円)」や、エビと季節の野菜の天ぷら付き「天せいろ(1,750円)」のほか、11月下旬頃には、ふっくらした大粒のカキと、三つ葉とスダチを載せた「かきそば(1,630円)」も用意する。
10周年をきっかけに、日曜の夜営業も始めた。10年前に尾沼さんの子どもが描いた松の木が店のロゴマークになっているが、その木は10年たって大きくなり店の入り口近くに飾られている。尾沼さんは「お客さまや、地元の仲間や友達に支えられた10年だった。今後もお年寄りから子どもまで気軽に手打ちのそばのおいしさを楽しんでもらえるようにしたい」と話す。
営業時間は、月曜~土曜=11時30分~13時30分、17時30分~20時30分、日曜=昼営業なし、17時00分~20時30分。火曜定休。