「手織適塾SAORI大宮店」(TEL 048-646-2462)が7月20日、押田謙文堂(さいたま市大宮区宮町)3階に移転オープンした。
織物は縦横の糸が均一になっているのが通常とされるが、偶然の失敗から縦1本が足りない織物ができあがり、それを「失敗」ではなく、「織物の個性・アート」として捉えては、と1968(昭和43)年に故・城みさをさんが創設した「さをり織り」
手織りの教室は全国に普及し、直営塾が9店舗。姉妹塾が海外を合わせて約200店あるほか、全国で2000カ所を超える学校、施設、作業所などで取り入れられている。障がい者の芸術活動を推進する国際組織「VSA」の日本事務局を務めるなど、社会活動にも取り組んでいる。
大宮では、1998(平成10)年当時大宮駅東口近くにあった西武デパート内に同店がオープンし、その後移転。宮町の一の宮通りで営業していたが、21年目を迎えた今年、現店舗に移転した。塾長は加々美真理子さん。同ビルにはエレベーターがあるため、車いすや高齢の方にも来てもらいやすくなったという。店内には壁にコーン巻きの糸が色とりどりに並び、カラフルな糸に囲まれた教室には織り機や、横糸を通す時に使うシャトルなどの道具が用意され、いつでも手織に取り掛かれる。
同教室には自由に自己表現ができるようカリキュラムは無く、「織り手の中にあるものを引き出し、心のままに織る指導をする」のが特色。生徒たちが自分の感性を自由に出し、互いに学び合うという。スタッフの野村遊さんは「心の癒やしになることが一番。自由に織っていく中で、何にしようか考える。考えていたものとは違うものになっても良しと思えることが大事。さをりでは、何をしてもOK」と話す。
夏休み期間中は、体験しに来る親子連れなどもおり、クラスの生徒らで賑(にぎ)わう。さいたま市北区から来店した4歳の男の子の母親は「子どもたちも思ったより楽しんでいた」と話す。一緒に来店した4歳の女の子は「糸巻きが楽しかった」とにっこり。
クラスに定期的に通う生徒で、東京都北区の女性は、自分で織り上げた布で作った服を着て織り機に向かい「ショルダーバッグの肩ひもが完成した」とうれしそうに話し、他の生徒も紙糸(かみいと)を織り込んで涼し気な夏ののれんの布を織るなど、それぞれ作りたいものを自分のペースで楽しみながら織っていた。
8月18日から24日まで「さをり織り 布の力+さをり工房ゆう展」を開催するほか、9月1日まで中学生以下対象の「夏休み子ども織りキャンペーン」を行っている。2時間織り放題で1人=2,160円(材料費込み・要予約)。スタッフの井町恵理香さんは「織物というと難しいと思われるが、どのように織っても自由で失敗はないので、気軽に参加してほしい。新しくなったSAORI大宮店を見に来ていただけたら」と呼び掛ける。
営業時間は10時~18時(教室開講は水曜から日曜)。火曜・祝日定休。8月11日~15日まで夏季休業。見学は随時受け付ける。