「第2回オープンファクトリーサミット」が12月4日、大宮の「東天紅JACK大宮店」(さいたま市大宮区錦町)で開催された。
牧原秀樹経済産業省副大臣、森下正明治大学政治経済学部教授、燕三条「工場の祭典」斎藤さんによるパネルディスカッション(関連画像)
地域や一般の人に「工場=ファクトリー」を気軽に見学してもらうイベントであるオープンファクトリーは現在、全国約30カ所で開催されている。「閉鎖的」といわれてきた職人の世界を知ってもらい、製品、技術、業界への関心を持ってもらおうという目的で行われている。
オープンファクトリーサミットは各地域で独自に行っているオープンファクトリーが集結し、互いの知見や課題を共有して、互いのレベルアップを図る目的で、2018(平成30)年11月、関東経済産業局で第1回を行い5地域が参加。これをさらに発展させようと、中小企業庁埼玉県よろず支援拠点と狭山市ビジネスサポートセンター等の支援を得て実行委員会が立ち上がり、今年は15地域約50人が参加した。
第1部では、「おおたオープンファクトリー」「彩の国オープンファクトリー in 入間」「燕三条 工場の祭典」を行う3地域が成果発表を行った。
大田観光協会が主催する「おおたオープンファクトリー」は2012(平成24)年2月から開催。今年で9回目迎え、参加企業や来場者が年々増えているという。事務局の小林平さんは「大田区ではものづくりは『観光資源』と思っているので、観光協会が主催している。新規の方にも参加しやすいようマニュアルを作成するなどして参加してもらいやすいようにしているが、大田区内にある工場の数に対する参加工場の比率はまだ少ない。認知度を上げ、盛り上げていきたい」と意気込む。
「彩の国オープンファクトリー in 入間」は今年8月2日に第1回が行われ、市内の小学生が市内の工場を見学したほか、もの作り体験も行った。入間市工業会の寺園智樹会長は「オープンファクトリーは、1社で行うのは難しいが複数集まることでやりやすくなる」と手応えを話す。
新潟県三条市・燕市全域と周辺地域で行う「燕三条 工場の祭典」は2013年に第1回を行い、ピンクのストライプのロゴを使ってイベントの一体感を高めた。高齢の職人がワイヤレスマイクで工程の説明を行ったり、プロジェクションマッピングで寺社をピンクのストライプで彩ったりするなど、昔ながらの「工場(こうば)」にIT技術やデザイン性を取り入れた見せ方をすることで多くの人の関心を集め、年々参加者が増えているほか、海外での展示会への出展などにも結び付けているという。実行委員長の斎藤和也さんは「年1回の『イベント』でいいのか、安全性の問題への対策など課題もあるが、イベントに参加して、職人になったという人がいるという話を聞くと本当にうれしい」と話す。
パネルディスカッションでは牧原秀樹経済産業省副大臣、森下正明治大学政治経済学部教授、燕三条「工場の祭典」斎藤さんが「世界を変えるモノづくり」をテーマに、意見を交換した。これからオープンファクトリーを立ち上げる人たちへのメッセージとして、牧原副大臣は「遊び心などを入れ、参加する人も運営する方も楽しいイベントするのも一つの方法。行政もどんどん巻き込んでほしい」と話す。
第2部の懇親会では各地域の運営者らが食事と共に意見交換を行い、交流した。事務局の松浦広展事務局長は「それぞれ主催する側の成果や課題を発表・共有しあい、懇親会後にはお互い行き来するまでの関係ができた。各地域のオープンファクトリーを通して地域の良さを情報発信する工夫は、学ぶところが多く、サミットの醍醐味と感じた。参加者から、次回以降は持ち回りでサミットを開催したいとの声もあり、オープンファクトリーが全国に広がる良い機会と感じた」と振り返る。