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スポーツ分野の創業支援「埼玉Sports Start-up」最終選考会 地元クラブ・球団審査も

最終審査に臨んだ参加者と審査員の皆さん

最終審査に臨んだ参加者と審査員の皆さん

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 スポーツ分野での創業を目指す若者を支援する埼玉県のプログラム「イノベーションリーダーズ育成プログラム『埼玉Sports Start-up(SSS)』」の最終選考会が1月17日、TKPガーデンシティPREMIUM大宮(さいたま市大宮区桜木町4)で開催され、4組のビジネスアイデアが採択された。

最終選考会の様子

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 同プログラムは、東京2020オリンピック・パラリンピックなどの開催を控え、今後拡大が見込まれるスポーツやスポーツ周辺領域の市場における新たなビジネスの事業化や事業の拡大を支援。浦和レッドダイヤモンズ、大宮アルディージャ、埼玉西武ライオンズの県内の3クラブ・球団と協力し、昨年度から開催している。

 ビジネスプランのテーマは、各クラブ・球団が実際に抱える課題の解決につながるものとして一般に公募する。43組の応募があり、書類審査、プレゼンテーションを行う2次審査を経て8組が最終選考会に臨んだ。本年度のファイナリストは、現役の高校2年生から既にスタートアップとして事業を展開している企業までさまざまで、大宮アルディージャの現役選手として活動する畑尾大翔さんも「現役Jリーガーだからできる!『子どもたちを取り巻く社会課題』を解決して、笑顔の子どもたちが日本一多い埼玉県にする!」というタイトルでサービスを提案。現役のスポーツ選手が病院などに出向きスポーツ指導をすることで、運動不足に起因する体力低下を解消するプランを紹介した。

 最終選考会には、各クラブ・球団の関係者をはじめとする7人が審査に参加した。「クラブ・球団、地域の課題解決に資する可能性」「事業性」「新規性、創造性」「社会的意義」「実現可能性」の五つの審査基準をもとに審査し、質疑応答も行われた。

 伴走支援の対象として選抜されたのは、「アイコトバ」田中謙二さんによる「声援2.0 コトバのチカラで一生忘れない観戦体験を!」、「PAEQUE」髙橋恭介さんによる「企業と地域が創り出す、スポーツ環境の向上と提供」、「サリーダ・デ・バロン」西村怜央さんによる「待機児童解消へ!スポーツ保育園 開園!」、「シンク」篠田大輔さんによる「スポーツで災害に強くなる『防災スポーツ』事業」の4組。

 田中さんは「声援の可視化」を通した新たな観戦スタイルやブランド広告の提供を提案。「まずは実際にスタジアムや球場でデータ収集ができれば。日本ではまだ端末に向かって声を出すという行動は定着しきっていないが、米国ではインターネット検索の約半数が音声検索。将来的に『しゃべる広告』を浸透させていきたい」と意気込む。県内の工業敷地内にスポーツチームと提携したスポーツ施設を展開するサービスを紹介した髙橋さんは「SSSの参加者との議論やワークショップなどを通して、皆で作り上げたビジネスプランだと思っている。このプランの実現に向けて取り組んでいきたい」と笑顔を見せた。

 審査会後は、参加者自らの発案で昨年度のSSS参加者も含めた交流会を企画・実施し、同プログラムのネットワーク構築も進んでいるという。埼玉県産業支援課の尾崎範子さんは「先輩起業家の方にもメンタリングしていただくなど、地域でのネットワークが広がっていたり、参加者同士のビジネスのコラボレーションが生まれたりするなどの動きが見られている」と話す。最年少参加となった高校2年生の辻美穂さんは「ほかの参加者や事務局の方々など、たくさんの方に温かく支えていただいた。全員が切磋琢磨(せっさたくま)した濃密な時間だった」と振り返った。

 伴走支援対象者は、事業の実現に向けた事業計画の作成支援やビジネスマッチング、資金調達などの支援が受けられる。

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