よしもと芸人が8月4日、「大宮ラクーンよしもと劇場」(さいたま市大宮区宮町1)で埼玉県内の児童養護施設の子どもを無料招待し、貸し切りお笑いライブイベントを行った。
吉本興業の常設劇場として2014(平成26)年にオープンした同劇場では、社会貢献活動の一環として児童養護施設支援団体である一般社団法人「コンパスナビ」協力の下、2022年から同イベントを開催している。3回目となる今回は県内10施設から申し込みがあり、小学生から高校生まで95人が来場した。
出演した芸人は「おかずクラブ」「サルゴリラ」「おいでやす小田」の3組。イベント前半、それぞれがネタを披露すると、会場内は大きな笑いに包まれた。後半は、子どもたちが参加できるゲームやクイズで交流した。終演後はステージ上で記念撮影を行い、サイン入り色紙を手渡した。帰り際、子どもたちからは「面白かった」と声が上がった。施設職員も「夏休みに行ける場所が限られているため、このように招待いただき感謝している」と話す。
吉本興業ホールディングスの和泉孝洋さんによると、5年ほど前に「施設の子どもの楽しみや外で遊ぶ機会が少ない。何か楽しいイベントをやってもらえないか」と、コンパスナビから依頼を受けたのが開催のきっかけだという。最初は、施設に芸人が出張して子どもと一緒にゲームを行うなどしてコミュニケーションを取っていたが、「せっかくだから劇場に来て、お笑いライブを見てもらっては」と提案。調整を重ね、2022年夏に初の開催にこぎ着けた。和泉さんは「普段、劇場のステージに立ったり、芸人と話したりする機会はなかなかないと思うので、楽しんでもらえたらうれしい」と話す。
コンパスナビ支援事業部マネジャーの河本稀英さんは「夏休みに親御さんと出かけられない子どもが多いので、すてきな思い出の一つになればとオファーした。1回目は50人だったが、施設同士で口コミが広がり、2回目の募集では70人、3回目は95人と参加希望者が増えていった。これからも継続して開催できれば」と意気込む。
「今後も、ただお笑いをやるだけでなく、地域の困り事やニーズに寄り添った取り組みを強化していきたい」と話すのは、同劇場の小菅佑恭支配人。「役に立てることがあれば、声をかけていただきたい」とも。