さいたま市中央区の一山(いっさん)神社(中央区本町東4)で12月21日、恒例の冬至祭が行われ、約500人の参拝者が見守る中、火渡りの神事が行われた。
2000年にさいたま市の無形民俗文化財に指定された同社の冬至祭は「ユズ祭り」とも呼ばれ、1年のけがれを払い、来る年の健康と幸せを願うために古くから行われてきた神事。拝殿での祭典を行った後、しめ縄を張った境内で火渡りが始まった。
宮司の新藤英子さんが祝詞(のりと)を奏上し、あらかじめおはらいをした種火を境内中央に積み重ねられたヒバの枝葉に点火。瞬く間に炎が4,5メートルの高さまで立ち上り、参拝者はその勢いに驚きの声を上げた。
ヒバが残り少なくなると、宮司が供え物のユズを投げ入れた。そしておき火を左右に分けて道を作るように宮司が清めの塩をまき終えると、宮司を先頭に参拝者も次々とはだしになり火渡りを行った。最後に、参拝者は供え物のユズを一つずつもらって境内を後にした。
ボランティアの仁田多美子さんは「ユズを配るのは3回目。今年は風がなかったので安心して見ていられた。よいお年をお迎えくださいと言いながら渡した」と笑顔で話す。火渡りを終えた後、宮司の新藤さんは「一陽来復(いちようらいふく)という言葉にあるように、冬至は一年のうちで最も太陽の力が弱まるとき。罪やけがれを払い、新しい一年を迎えるための清めの儀式が火渡り。この伝統をこれからも続けられるよう心を配りたい」と話す。