ベンチャー企業を支援するイベント「埼玉ベンチャーピッチ」の3周年拡大版が3月29日、新都心ビジネス交流プラザ(さいたま市中央区上落合2)で行われた。
埼玉県庁やさいたま市役所、トーマツなどが幹事となり開催している「埼玉ベンチャーピッチ」。「県内を中心とした大企業、ベンチャー企業、金融機関、公的団体でつくるイノベーションを生み出す場の創出」「県を超えたネットワークづくりの支援」「成長意欲の高いベンチャー企業との接触機会を提供することで、大企業の活性化を促す」という目的で2カ月に1度、大宮ソニックシティ、新都心ビジネス交流プラザなどで開催している。
3周年となる今回は、「観光特集」として「インバウンド」をキーワードに、プレゼンテーションでは、外国人観光客誘致に取り組み外国人向けのウェブマガジンを運営するMATCHA(東京都台東区)、きねや足袋(埼玉県行田市)、盆栽の清香園(さいたま市)、200年の農家屋敷で旅館などを営む宮本荘グループ(秩父郡小鹿野町)の4社が登壇した。
北区盆栽町で創業170年の盆栽園を営む清香園は、盆栽の販売、リースのほか盆栽教室も運営し、女性を中心に1500人ほどの生徒がいるという。盆栽美術館もある同町には外国人観光客も多い。同社社長の山田寅幸さんは、「十数年前に比べると外国人客の数が飛躍的に増えている。まだ情報発信がそれほどできていない状況でこれだけなので、今後もっとアピールしていきたい」と話した。
パネルディスカッションでは、県を代表するインバウンド関連企業のイーグルバス(川越市)、コエドブルワリー(川越市)、西武鉄道(所沢市)が参加し、埼玉県の魅力と未来について活発な意見を交わした。
イーグルバス社長の谷島賢さんは「日本人には当たり前のことが外国人には新鮮に思えることもある。見過ごしている資産を掘り起こす必要がある」と話し、「地域の魅力は1社ではつくれない、民間から始めて官を巻き込み、街全体で取り組む必要がある」と提起した。
西武鉄道・鉄道本部運輸部の石原遼太さんは「現在自分たちがやっていること、観光客が集まりつつある秩父も季節によりまだかなりバラツキがあることなど、現実のデータも伝え、これからの課題を共有できたと思う」と話した。
セミナーでは118人の参加者が熱心に耳を傾け、終了後の交流会では埼玉各地で活躍するカフェやレストラン、銘菓やクラフトビール、地元産ワイン製造者がブースを出し、多くの人が活発に意見を交わし交流した。
浦和区で小さな教室を開いている人たちのネットワークづくりをする「from U(フロムユー)」の芝田みかさんは「可能性はいろいろなところにあり、まずは動いてみることが大事ということが響いた。いくつかアイデアも湧いたので検討したい」と話した。
次回は5月に開催予定。