大宮の街中にある卓球場が、卓球の熱さや面白さを伝えたいとオリジナルの漫画「おおみや卓球場物語」を制作した。
漫画を制作したのは、おおみや卓球場(さいたま市大宮区大門町3)を運営する一般社団法人おおみや卓球振興会代表理事の小沢正康さん。小沢さんが卓球場を開いたのは2011年6月。当時、周りのビルでも空き店舗が増えていた中、自社ビル1階のテナントがあいてしまったため、「初期投資の少ない何かで店舗を埋めたい」と卓球場を開設した。当初は、次のテナントが決まれば数カ月程度で閉店する予定だったが、大宮の目抜き通りに面した好立地だったこともあり、卓球の経験者を中心に常連客が増え、「やめるにやめられなくなってしまった」と小沢さん。利用客のために運営を続けるため社団法人を立ち上げ、スポーツ振興くじ「toto」からも助成を受けるなどして何とか運営を続ける体制を確保した。
「こうして卓球を楽しむ人々と接するうちに、自分自身も卓球が好きになっていった」と小沢さん。やがて常連で卓球経験者の福島和也さんが休日にボランティアで卓球教室を開くようになり、今ではこの卓球場に通う中学生がさいたま市で2位にランキングされるほどの選手を輩出するようになった。「卓球は気軽に誰でもプレーできる場所が少ない。フラッと立ち寄って卓球を楽しむことができる、この卓球場の存在はとてもありがたい」と福島さん。
そこで、もっと卓球の熱さや面白さを広める方法はないかと考えた結果、漫画を制作することになった。作画は小川単芝さん。小川さんも、この卓球場に通ううちに卓球場の店番を担当するようになったほどの卓球場ファンの一人だ。
ストーリーは、一人の小学生が同卓球場を訪れるところから始まる。引っ込み思案だった男の子が次第に卓球の魅力に取り付かれ成長していく姿と、それを見守り、支える周囲の大人たちを描く。「漫画は、フィクションとノンフィクションを半々くらいで描いている」と小川さん。劇画調のタッチながらハートフルな内容で、口コミで広がりつつある。
漫画は同卓球場で販売する。価格は300円。