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さいたま市在住の柔道家がネパールの柔道道場開設に貢献 現地式典に招待

ネパールのモンジョ村に開設した柔道道場

ネパールのモンジョ村に開設した柔道道場

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 さいたま市在住の柔道家、山口敬志さんが日本の畳を送るなどしてネパールのエベレストベースキャンプの柔道道場開設に貢献した縁で現地のセレモニーに招待され、約200人のシェルパ族から歓迎を受けた。  

日本から送られた柔道着を着て誇らしげな子どもたち(関連画像)

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 山口さんは埼玉大学教育学部保健体育科卒業、同大特殊教育特別専攻科修了後、小学校体育非常勤講師、外資系企業のフィットネストレーナーなどを務めた後、フリーランスのパーソナルトレーナーとして独立。東京を中心に活動し、昨年から与野でもパーソナルトレーニングを指導している。柔道は5歳のころに始め、インターハイや国体の出場経験もあるという。

 大学卒業後になってから始めた海外の旅の中で、2007年ネパールのカトマンズでストリートチルドレンに「相手を思いやり、礼儀を伝えるのに柔道はいい」と指導しているダルマさんに出会う。道着がなくTシャツで柔道をしている子どもたちを見て、同じ柔道家として何か協力したいと、日本に戻り、古着の柔道着を集め約100着送った。さらにダルマさんがカトマンズ郊外に新設する学校に柔道場を開きたいが畳の入手が困難で苦労していることを知り、勤めていたスポーツジムなどの協力で、ほぼ新品の120枚の畳を送付した。

 高額の輸送費用は、セミナーでの講演やカレンダーの製作・販売などをしながら支援を得た。山口さんは「初めは一人でやろうと思っていたが、いいことは皆でやるんだとアドバイスされ、様々な人と協力することで、活動が周知され、さらに支援も広がり良かった」と振り返る。

 2014年に旅で訪れたエベレストベースキャンプで有名なモンジョ村で宿を経営するシェルパ族で元柔道家のカジさんに出会う。カジさんの「柔道は素晴らしいスポーツで道場を開きたい。ネパールではスポーツクラブなどはまだまだ少なく、国の補助なども得られにくく難しい。この地で子供たちに柔道を教えるのは来世の夢だよ」という思いを聞いた山口さんは、帰国後、様々なご縁を頼りに畳の寄付を募った。結果、70帖分の畳を集め現地へ送った。カジさんの柔道教室「エベレスト柔道クラブ」は2016年に始まり、多くの子どもたちが柔道を学んでいる。

 今回のセレモニー参加に当たり、山口さんは、日本での協力者など8人でネパール入りした。「セレモニーでは伝統のダンスが披露され、ヒマラヤの山々を背景に子供たちの柔道が行われた。素晴らしい体験だった。協力してくれた日本の知人友人、ネパールのカジさんやダルマさん、歓迎してくれたシェルパ族の人々全てに感謝したい」と話す。

 「始めたころは、『そんなことをして何になるのか』と馬鹿にされたりもしたが、続けてきて、多くの人の人生に少しでも関与できた縁をありがたく思う。何のためにやっているかと聞かれても答えるのが難しいが、自分にとって呼吸するように自然なことなので、これからも続けていくと思う」とほほ笑む。

 山口さんは引き続きネパールへの柔道の支援を行う予定で、今後はネパールでさまざまな体験をしたい人にプログラムを紹介することなどもしていきたいという。

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